●「東山魁夷」展
後日談に成増が…。
雨上がりの月曜昼過ぎ、とある絵画展を観覧すべく北の丸迄足を運びました。
私め、別段絵画鑑賞なぞ高尚な嗜好を持ち合わせている訳では有りません。
寧ろ逆に絵画.音楽と云った分野には無頓着な方だと思います。
では「何故展覧会へ」と申しますと、単に画翁の「特定の」作品が好きなものでして、それを観に赴いた次第であります。
「東山魁夷」を知る切っ掛けとなったのは、とある一冊の画集でした。
遡る事十四年前、地元を離れ東京に居移暫くの事です。
神保町の古本屋で表題に引かれ「何と無く」手に取った本には見覚えのある風色が数多画かれていました。
しかもその風景画には、写真で感じ取る事の出来ない「湿り・潤い・揺らぎ・暖かみ」のある表情が醸し出されており、郷愁をそそられずにはいられません。
例えば、風景画の抒情性が四季や自然に対する「愛慕の感」に根差すならば、題材である情景に日常近しく接している程、より心に響くものでしょう。
更に、良質に「リ.プロダクト」された心象風景画であれば尚更です。
そう、勿論それは「京洛四季」でした。
今回出展作品中、特に想い入れ深いのは「曙」。
それは市井民ならば日々見慣れている情景。
東山連峰の柔らかくも奥行きのある稜線が、色取々の紫紺にて描かれています。
微細な陰翳が幾重にも堆積した山肌の色合いは、文字通り山紫水明。
幻影では無く、山は本当に「紫」なのです。
東京国立近代美術館「東山魁夷展」
http://higashiyama-kaii.com/index.html