●書架彼是 17
当たり前ですが、心象風景画は写真よりも嘘つきです。
果たして人の心はフィルムよりもナイーヴでセンチメンタルなのです。
従って良質の抒情画は余計に懐旧や郷愁の念を想起させるのです。
況してや題材が近しく佇んでいる誼深い風景であれば尚更です。
柔らかく奥行きのある東山連峰の稜線「曙」
艶やかな紅殻が花街に映える「一力」
鬱蒼と生い茂る幽玄な青蓮院の楠「年経る樹」
「夏に入る」「宵山」「月影」「年暮る」…。
それは市井民ならば日々見慣れている「普通」の情景。
だから尚更、琴線に触れるのでしょう。
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・「京洛四季」
新潮社 (1969)
東山魁夷 画