●「深泥池」のこと
「深泥池」
ミヤコ洛外は上賀茂北東に位置する湿地状池沼にて。
池が形成されたのは十四万年以上前、ウルム氷期から残存する水生植物群落が今日に於いても多数生息しており生物生態学的にも貴重な自然遺産。
そんな学術的見地は扨置、市井民にとっては別の意味にて遍く人口に膾炙しておりますこの深泥池。
所謂ミヤコ有数の「出る」スポット、「清滝トンネル」「将軍塚」「宝ヶ池」と並ぶ心霊名所でもあります。
と云う訳で下記書籍、早速アマゾンにて購入。
先程手元に届いた次第でして。
深泥池“百科”出版
京滋の研究者ら69人執筆
国の天然記念物に指定されている深泥池(京都市北区)の生き物や植物、歴史文化を網羅した本「深泥池の自然と暮らし」がこのほど、出版された。京都、滋賀の研究者ら69人が執筆した。深泥池百科ともいえる内容で、池の保全に向けての提言も盛り込んだ。
川那部浩哉・滋賀県立琵琶湖博物館館長ら研究者7人が中心となって編集した。
本では、池は氷河期から残る手つかずの自然というイメージを否定。平安時代以降の人間活動が現在の池を形作ってきたとした。
例えば、貧栄養を好むミズゴケの湿原が維持されてきたのは▽名物のジュンサイ採りが栄養物を池から取り除くことになり、水質の富栄養化を防いだ▽池をかんがいに利用していたので底の泥が流れ出し、浅場を好むヨシが侵入できなかった-など人間の営みが関係しているという。
しかし、天然記念物に指定されて人の手が入らなくなったことに加え、近年は周辺開発が池の環境悪化を招いた。ミズゴケの枯死やヨシの侵入、ブラックバスなど外来種の繁殖などが問題になっているという。水質保全に向け、池周辺の森林も含めた集水域の管理が必要と指摘した。
編集メンバーの竹門康弘・京都大防災研究所准教授は「希少生物が次々と発見され、調べれば調べるほどすごい池だ。里山と同じように活用しながらの保全を検討する必要がある」と話している。
B5判、247ページ。本体価格3000円。問い合わせはサンライズ出版TEL0749(22)0627。
■深泥池(みどろがいけ) 京都市北区上賀茂深泥池町にある周囲約1・5キロ、面積約9ヘクタールの池。成立は14万年前の氷河期にさかのぼり、ホロムイソウなど寒冷植物や高山にみられるミズゴケ湿原「浮島」がある。1927年に植物群が国の天然記念物に指定され、88年には生物群全体に指定が拡大された。
(文.写真共 京都新聞5/13より)