●「神在月.神祠巡礼」大社造篇
えー、遅蒔き乍ら、先週の「神在月.出雲旅譚記」後日談に成増。
関連過去ログは下記参照の事です。↓
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2008/10/post-9ccd.html
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2008/10/post-293e.html
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2008/10/post-9a98.html
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出雲国と云えば出雲大社、出雲大社と云えば「大社造」。
と云う訳で先ず「大社造」に就いての基本事項なぞを。
因みに今回の出雲巡礼の旅、参詣した六社のうち「大社造」本殿を有する神社は「出雲大社」「美保神社」「神魂神社」「熊野大社」の四社。
仏教伝来以前、即ち仏寺建築様式の影響を受けずに形成された日本古式の建築様式として、伊勢神宮本殿に代表される「神明造」、出雲大社本殿に代表される大社造(派生形として住吉大社の「住吉造」)が有ります。
旧出雲地方(現島根県東部)は古来より出雲大社の宗教的、政治的影響下にあり、従ってその建築様式である大社造も同地域に広くに分布し、出雲周辺のみに見られる地域的特色となっています。
続きまして「大社造」外観の様式的特徴を。
(神明造との共通項)
1.屋根の形状は切妻造である。
2.屋根材は萱葺等、植物材葺である。
3.斗、肘木と云った組物は使用しない。
4.板床を高く設ける。
5.壁面は板材にて横板張りである。
(神明造との相違項)
6.桁行.梁間共に二間で正方形に近く、四面には縁を施している。
7.妻入にて、入口板扉は正面右側に寄っている。
8.切妻屋根には若干の反りが見られる。
9.千木は破風板から独立し(置千木)、装飾的要素が強くなっている。
前述した通り「大社造」は「神明造」と並ぶ日本古来からの様式で、共通項も多く見受けられる反面、「神明造」程古制を踏襲していない部分が有ります。
その理由として、式内外社を問わず殆どの神社は室町末戦乱期に遷座中断を余儀無くされており、出雲大社も上例に漏れず本殿造替の滞っていた時期が長く、亦伊勢神宮の様に式年で遷宮する慣習も無い(復古しなかった)のが原因と思われます。
従って「大社造」は後世の建築様式を受けた部分が多分に見受けられ、それは出雲大社他の現存する大社造本殿遺構に共通するものです。
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と此処迄を打ち綴り、画像なんぞをアップして各社建築様式を記述しようと思っていたのですが、待ち受けていた事実に愕然とする破目に…。
手違いで「画像を殆ど消去」してしまっていたのです。
従いやる気もすっかり失せてしまい「尻切れ蜻蛉」の項となってしまいました。
取敢えずメモリーカードに残っていた写真を幾つかだけアップしておきます。
上より【出雲大社.摂社素鵞社】【神魂神社本殿】【美保神社本殿】の欠片。
と云う訳で、来年にもう一回出雲へ行く事となりそうです…。