●裏をみせ おもてをみせて 散るもみじ
去る十月五日に永逝された故氏に弔悼の念を意して。
俳優であると同時に「在野派」中川一政に師事し、書家としての顔を併持していた緒形拳氏。
多忙な日々の合間を見付けてはアトリエにて「土を捏ね」「顔料を溶き」「筆を取り」、技芸に孜々とする時間を何より愛していたと伺います。
特に「書」に関しては嗜みの域を超え平成三年の初展以降、数次の展覧会開催や書画集を出版するに至る程でした。
因みに表題の句は良寛。
氏が生前最も好んだものの一つであると云います。
書は人を表す。
ならば彼は縛られない人である。
一文字一文字が天衣無縫であり、自由闊達なのだ。
それらの文字は紙の上に踊るだけではない、陶の上で或いは板の上で自らを謳歌する。
骨太ではあるが肥躯ではない。
贅肉がなく媚がない。
無心であって禁欲的である。
やはり書は人なのだ。
(小学館スクウェア「游の仕事」より借載)
上掲評は「赤坂游ギャラリー」林隆宣氏に由るもの。
個展のプロデュースは元より、作品装丁の屏風や軸装、絵皿焼窯の手配り…。
更には拳氏が熱愛して止まなかったロベール.ドアノーへの撮影依頼に至る迄、陰日向厭わず御尽力された知己であります。
「赤坂 游ギャラリー」緒形拳追悼特集は下記にて。↓
額装作品の購入等も可能。
http://www.akasakayugallery.com/special/ogataken.php
関連過去ログはコチラ。↓
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2007/04/post_5aa9.html
後、一応「禁.無断転用」です。