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2009.01.28

●『一体私はあの檸檬が好きだ。

レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰った紡錘形の格好も。
― 結局私はそれを一つだけ買う事にした。』
(梶井基次郎「檸檬」より抜粋)

昨日京都新聞を捲頁していると、「冗談でしょ」と真偽を疑う様な一報が…。

上掲は梶井基次郎の「檸檬」にて、主人公が「爆弾」を購入した果実店として有名な寺町二条の「八百卯」さんが突然閉店されたとの知らせです。
平成17年に閉店した「丸善京都店」に続き今回この訃報、これで「檸檬」の余情を残す二大舞台が完全に姿を消してしまいました。

私めも帰京の際「ちょくちょく」立ち寄っては、お店用の檸檬(勿論カルフォルニヤ産)を買い求めておりました。
寺町散策に不可欠な「通りの趣」が一つ姿を消してしまったと思うと本当に残念ですが、余りにも急な話、正直云って未だ実感が沸かないものです。

今年から「檸檬忌」の標は如何すれば良いものやら…。

梶井「檸檬」関連過去ログは下記にて。↓
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2009/01/post-ff74.html
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2007/03/post_dbaf.html
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2008/03/post_b6b5.html

P2009012700037_2中京、「檸檬」の果物店閉まる
梶井基次郎の小説 4代目急逝で

梶井基次郎(1901-32年)の小説「檸檬(れもん)」の舞台として知られる京都市中京区寺町通二条角の果物店八百卯(やおう)が26日までに、店を閉めた。もう一つの舞台だった書店はすでになく、多くの文学ファンに親しまれた京都の「名所」がまた一つ姿を消した。
八百卯は1879(明治12)年の創業。梶井基次郎が1925年に発表した「檸檬」で、主人公が三条通にあった丸善・旧京都店の書棚に、爆弾に見立て置き去ったレモンを買い求めた店として知られる。後に同区河原町通蛸薬師上ルに移転した丸善(京都河原町店)は、2005年に閉店している。
八百卯関係者によると昨年10月、4代目の店主村井義弘さんが63歳で急逝し、創業130年の歴史に幕を下ろすことになったという。
シャッターが下ろされた店先では、道行く人たちが閉店を知らせる小さな張り紙に驚いたように足を止め、名残を惜しんだ。店を手伝ってきた親族は「檸檬の店と、長い間、大事にして頂いてありがたかった。本当に残念です」と話した。
(文.写真共 京都新聞1/27より)

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