●「家の近所」観光分析
四月も中旬を過ぎ、ミヤコでは遅咲き「御室の桜」も散り終えた頃。
キョート観光狂想曲「第一章.観桜の部」も漸く一段落した事でしょう。
尤も息接ぐ間も無く「第二章.ゴールデンウィークの部」が近づいて参りますが…。
そんな時宜折節、本日は我が地元「嵯峨&嵐山」の観光事情に就いてです。
詳細に就いては下記京都新聞記事を参照して頂きたいのですが、要約「清水さん」に訪れる観光客数に「嵐山」が追い付く云々との話題です。
まぁ狭い盆地の中で一番二番を争うのもナンセンスなオハナシですが、私所懐としてこの逆転劇、可也難しいんじゃないかと。
何故なら洛西の地は、洛中洛東に比べ「決定的な弱点」を抱えているものでして。
京都駅からJR一本で約20分と便の良いアクセス、「雪月花」を兼ね備え四季折々の景勝を有し、「散策路」「寺社仏閣」等の観光資源にも事欠かない同地。
特に観桜観楓シーズンには超弩級的集客力を誇り、更には冬季オフシーズンの観光新機軸「嵐山花灯路」来客数も好調に推移しています。
では、そんな無敵の観光名所「嵐山(嵯峨一帯も含む)」の抱えるウィークポイントとは何なのでしょうか。
それは偏に「夜に弱い」事に尽きるでしょう。
宿泊を伴う入洛者にとって「寺社拝観」「名勝行楽」「お買い物」と云った観光目的と並び、「ご飯食べ」「酒席」「御座敷」と云った「観光夜の部」のお楽しみも大きなウェイトを占めています。
然乍ら同地の宿泊施設、料理屋、飲み屋(酒亭.BAR等)と云った施設は洛中に比べ量的に数十枚落ちるもの。
勿論良質のお店は有るのですが、如何せんその数は致命的に少なく「夜の街」としての脆弱さは否めません。
(と云うか「嵯峨.嵐山」は元来そういう性格の地域ではないのでして…)
亦、祇園町や宮川町、先斗町と云った花街の有無も大きなウェイトを占めているのも間違い無い所処でしょう。
まぁこれ等の弱点は、も一つ前のミヤコ「奈良」と共通する事項だったり致します。
勿論、ミヤコ観光客は宿泊客計りではありません。
寧ろ実数としては日帰り行楽客の方が圧倒的に多いのですが(75%:25%)、この点に関しては他府県からの動線問題上、嵯峨嵐山が優位とも云えないのです。
と、まぁこんな事由にて上記結論となる訳です。
尤も地元民から云わせて頂ければ、それはそれで却って宜しいんぢゃ無いかと。
古より嵯峨.嵐山は大宮人にとって「風流」の、「遊興」の、「遁世」の地でありました。
云わば同地の本質的な魅力は「雅の中の鄙び」であり「俗っぽく」ない処が魅力だった訳です。
故に現在に於いてもその真髄は、日中のキチ○イじみた混雑時では無く、早朝や宵刻の人影疎らな頃にこそ「さらなり」と謳われる風情があるのです。
従い「何でも一番」が良い訳では無い、と云うオハナシでした。
嵐山人気、清水寺に迫る
京の観光地 首位争い白熱
京都市内観光の訪問先で21年連続トップの清水寺を、長く2番手に甘んじてきた嵐山が追い上げている。温泉やライトアップなどの魅力づくりに加え、京福電鉄嵐山線が今春から延伸した市営地下鉄東西線と連絡して行楽客が増えており、悲願の王座奪還は近い?
「若いカップルが増えた。地下鉄延伸で夜まで散策する人も出てきた」。渡月橋そばの土産店「新八老舗店」(右京区)の中川光昌営業チーフ(32)は話す。
市観光調査によると、市内を訪れた観光客が立ち寄った割合を示す訪問率は、清水寺が1987年に嵐山から首位を奪ってから昨年まで連続トップ。ただ、5年前の2002年は清水寺と嵐山は2倍以上の開きがあったが、昨年は清水寺が21・2%、嵐山が15・9%と、その差は5・3ポイントと半分以下に縮まっている。
「古い街並みの東山から自然回帰で再び西に移ってきた」と京福電気鉄道の田中輝重専務はみる。嵐電新駅と延伸した地下鉄の接続効果で4-9月の嵐山線旅客数は前年同期比5・2%増の約353万人。年間で8年ぶりとなる700万人突破を見込んでいる。
嵐山復活へ2004年に地元旅館が共同で開発した嵐山温泉や、昨年12月に100万人近くを集めた「京都・嵐山花灯路(はなとうろ)」といったオフシーズン対策や年配層、滞在客を取り込む仕掛けが底上げになったとみられている。
嵐山に追い上げられている清水寺だが、これはあくまで訪問率の話。市内観光客数が増えているため、拝観者数は昨年度、過去最高の500万人台に乗った。同寺は「嵐山の人気が再び伸びてきたことは京都観光の底上げにつながり、非常に喜ばしい」と余裕をみせている。
(文.写真共 京都新聞11/30より)