« ●「お酒をくれなきゃイタズラするぞ」 | Main | ●「後の月」 »

2009.10.29

●「山は」

山は 小倉山。

清女にも「山の一」と謳われ、古の大宮人にもその景趣を愛されてきた「嵐山」。
因みに往古に於いて詠まれていた「おぐらやま」とは、現在の小倉山に加え嵐山.亀山周辺山々の総称でした。

本日は、そんな平安よりの所以を誇る「嵐山」の景観が危機に晒されているとのお話です。

実は松林の枯渇、桜木や楓木の老化は前々から危惧されていたのですが、何せ嵐山は「史跡特別名勝」、この一帯は全て国有林。
従い農水産省林野庁管轄下の為、「間伐」や「枝打ち」等の手入れをするにも一々手続きが面倒なものなのです。
詰まり「開発からの山林保全」の為の法令が、却って仇となっているのでして。
この儘手を拱いていると、数十年後の嵐山は「雑木」の山となっている可能性が非常に高いのです。

まぁ京都市政の無能振りは昨日今日始まったものでは無いので、行政の対応を待っていても時間の無駄である事は火を見るより明らか。
此処は地元保勝会及び見識者の尽力に期待するしか無いのでしょうか。
因みに室町期以降から明治に至る迄の間は、枯木.倒木の除去から植樹管理…。
嵐山の山林保全は全て天龍寺さんが請け負っておられました。

更にはこう云った「山林の景観危機」は嵐山に限った事では無く、東山三十六峰を始めとしたミヤコの山々全般が抱えている問題なのでして…。

P2009102500050 嵐山の景観 将来に不安
森林の世代交代進まず
嵐山のサクラやモミジが将来、見られなくなるかもしれない。渡月橋上流の桂川右岸にある嵐山国有林(京都市西京区、59ヘクタール)で、こんな懸念が高まっている。次世代を担う若い木が育っていないためで、管理する京都大阪森林管理事務所は多角的な意見を聞くため、地元と専門家を交えた意見交換会を設け、植樹などの方法を見直している。
嵐山国有林は、13世紀末に亀山上皇が吉野(奈良県)からサクラを移植して以降、マツやサクラなどが度々植えられ、歴史的に美しい景観が作り出された。天龍寺や住民の生活で使われる木材の供給地でもあり、間伐などで森林の世代交代が自然に行われていた。
明治以降、国有化で人の手が入らなくなり、養分の乏しい土地を好むマツは激減した。枝打ちや間伐を行わない管理だったため、日が差し込まず、サクラやモミジの若い木が育っていない。一方で、アカガシやヤブツバキなどの常緑広葉樹が広がり、モミジなどの景観を侵食している。
近年の植樹も、実を結んでいない。森林管理事務所と地元の嵐山保勝会が1982年から続ける植樹について、同事務所が2000年~07年の植栽地を調べたところ、サクラは4割、モミジは1割が枯れていた。事務所の福田淳所長は「行事としての植樹を優先し、適した場所より植えやすい所に植栽された感がある。植栽前に周囲の高木を切る必要があった」と話す。
意見交換会は、天龍寺や保勝会などの代表6人と専門家4人、オブザーバー参加の京都府と市の担当者でつくる。地元委員からは「明治以降の嵐山は『見る山』になり、入ってよいのかも分からなかった」との声も出た。今後、植生▽獣害▽景観▽治山-の各テーマで、来年1月ごろに提言をまとめる予定だ。
福田所長は「今に始まった課題ではないが、地元や専門家の声を聞く場がなく、対策は場当たり的になってしまっていた。提言を生かし、効果的な対策をとっていきたい」と話す。
(文.写真共 京都新聞10/25より)

|

« ●「お酒をくれなきゃイタズラするぞ」 | Main | ●「後の月」 »