●それはもう「帰らぬ日々」
えー、何時も御世話になってます、只今無職の弊亭酒司で御座います。
私め、「飲み屋勤め」を生業として早や二十年近くになりますが、嘗て師匠筋に当る人より教えられた「マグナカルタ」が御座います。
まぁ云ってみれば、この仕事を長く続ける為の「秘訣」みたいなものでしょうか。
以来今日迄、お教えを極力遵守してやって参りました。
因みにそのお教えとは、以下の三箇条です。
①仕事を終えたら、一分一秒でも早く店を後にする。
②仕事中は幾ら進めらても、酒は一滴も口にしない。
③お客さんと店外での付き合いは極力避ける。
と云う訳で「条文.壱」に由り実は私め、自分の店で飲酒した事がありません。
但し「ある一日」を除きましては。
昨年12/25最終日未明、暖簾仕舞い後の事。
弊亭カウンターに座り、最初で最後のグラスを傾けたのでした。
数時間後には解体作業に取り掛かる弊亭との「別離の酒」。
とは云うものの、「相手の居ないバァ」で一人飲むのは矢張り変な気分です。
そしてそれは「決して帰らぬ日々」。
今となっては其処はもう、「瓦礫の山」となっている事でしょうから。