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2010.07.23

●「上ル下ル西入ル東入ル」

例えばミヤコの「酒飲み」に尋ねてみるとして。

京都市中京区妙満寺前町446 2F
 「…それ何処ぉ?」
寺町二条上ル東側 
2F
 「嗚
、あそこの毒リンゴ屋のことかぁ~」


京都市東山区弁財天町19 1F
 「…それ何処ぉ?」

縄手新橋上ル西側 1F
 「嗚
、あそこのエロマスターの店やん」

京都市中京区東生洲町481 2F
 
「…それ何処ぉ?」

中京区二条通木屋町東入 2F
 「何ゃ、鶏肋の事やん」

そんな訳でミヤコには二通りの住所表記が御座います。
一つは謄本上表記されている、町名番地を主体とした住所表記。
一つは「東西」「南北」の通りの交差地を基点として場所を示す、所謂「通り名」。
今更な話ですが、市井では後者の方がフツーに使われております。

これ、どっちが便利かと申しますと、云う迄も無く後者。
「他人に場所の説明をする際」「初めて行く場所を覚える際」等で、そのアドバンテージは決定的。
タテヨコの通りを思い出して上下東西を付記すれば事足りるからです。
況してや大抵のミヤコ人は「通り名」を聞けば「脳内3D地図」が出来上がるものです。

と云うか、長らく洛中在住ながら自分の町名住所や番地を御存知無い方々もフツーにおられるのでして。

そんな訳で、幾らPC文化が侵食しようが「通り名表記」が廃れる事は考え難いもの。
少なくとも、「町名や番地」で場所の案内をする事は無いでしょう。

201007205252571n_2京の通り名 住所から消える?…
千年の伝統「上る」「東入る」、ネット検索できず
「上る」「下る」「東入る」「西入る」と、通り名を起点に場所を示す京都市中心部の住居表示が、岐路に立たされている。京都独自の伝統的な表記だが、標準化の進むインターネットやカーナビゲーションの大半は通り名が不要なものとみなされ、入力しても地図検索ができない状態。ネット広告や名刺からも通り名を抜く表記が増え、平安時代以来続く地名表記に親しんできた市民には「通り名がないと、場所がどこかわからない」と戸惑いが広がる。 

「京都の不思議」の著書がある作家黒田正子さんは最近、ネットで化粧品を買おうと、京都市内の自分の会社の所在地を入力すると、受け付けてもらえず驚いた。
京都市内は通り名だけでもほとんどの郵便物が届く特有の地域。黒田さんはいつものように「中京区高倉通夷川上る」と入力したが、店から宅配業者へ手配するコンピューターシステムが対応しておらず、町名と番地を改めて入力したという。黒田さんは「標準化によって、京文化ともいえる通り名や『上る、下る』が消えてしまうような気がする」と危惧する。

201007205252781n_3元々、「上る、下る(上ル、下ル)」といった京都市中心部の住居表示は独特だ。例えば市役所の所在地は登記簿などで「中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地」とあり、通り名と町名、番地を長々と併記するのが正式な表示となっている。
だが、ネットの地図検索でこれを入力すると、「見つかりません」か、周辺の町名や店の情報が表示されるだけで地図が出てこない。市役所の地図を探すには「中京区上本能寺前町488番地」と入力しなければならず、通り名は無用というわけだ。
ネットに地図情報を提供する大手「ゼンリン」によると、検索システムに町名と番地を基にした全国標準の住居表示を採用していることが理由。京都独自の通り名などはエリアが特定できないため、担当者は「ピンポイントで示すのは難しい」と話す。

こうした現状に戸惑うのは、多くの京都市民。市民の地理感覚では市役所なら「寺町通御池上る」だけで十分で、通り名こそが重要な情報だ。そもそも、町名が必要だと言われても、町の数(中京区だけで498町)や同名の町(市内9か所にある桝屋町など)が多くて覚えられないという事情もある。
一部には、通り名に対応した地図検索ソフトも開発されているが、まだ普及していない。カーナビも通り名は受け付けず、郵便番号から住所を探すソフトの中にも通り名抜きで表示されるものがある。
不動産の物件情報を集めたサイトに、通り名を省いて掲載した市内の不動産業者は「町名と番地さえあればネットで地図を呼び出せる。通り名を併記すると、地図は出てこないし、長くなりすぎる」と語る。
京都国立博物館もチラシは通り名の「東山七条」だが、館員の名刺は「東山区茶屋町527番」。ネットが普及して以降、同様の動きは市内の事業所や店舗にも広がっているという。

京都で約800年続く歌道の冷泉家当主夫人の冷泉貴実子さん(62)は「我が家の現住所を今出川通烏丸東入ると言うと、京都の人はぱっと景色が浮かびますが、町名の玄武町ではタクシー運転手にも通じません。ネットでは町名が便利なのでしょうが、そればかりになると住む人も困ります。通り名を大事にしてほしいですね」と話している。
(文.写真共 読売新聞7/20より)

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