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2011.07.26

●加茂三塔巡礼「岩船寺」

えー、先日帰京の後日談.7月17日分。

三連休中日の日曜日、焔威振るう極暑の中は南山城へ。
八年振りに「加茂の里」、真言仏刹三塔を巡拝して参りました。
そんな訳での三山遍路記その一、「岩船寺」篇で御座います。

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【写真上.下】岩船寺.三重塔 (重文)。
嘉吉2年(1442)建立 方三間.三重塔婆.塔高20.5m 本瓦葺。

均整のとれた小型の三重塔。
初重に大仏様、二三重に禅宗様の木鼻が取り入れらているが、他組物手法や脇間の連子窓等、総じて和様の色合いが濃い。
恐らく再建時、古式に則りつつも部分的に新様式手法を取り入れたものと思われる。
二重.三重に較べ、初重の軒高が高いのも同時代に良く見られる様式。

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【写真上】同.三重塔、北西上方より。
岩船寺境内は山間窪地に立地、三重塔はその奥谷間に建てられており、北面と西面の周遊路は登り山道になっている。
その為、塔を二方から俯瞰する形で鑑賞が出来る。

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【写真左】十三重石塔 (重文)。 
鎌倉後期(1275~1332年頃)造立、塔高6.2m。
基壇から十三個の笠石、相輪迄が完全に現存しているのは珍しい。
国内で石造多重塔が最も頻繁に造られた鎌倉期のもの、同様式で規模の大きい遺構として般若寺や宇治浮島のものがある。
【写真右】五輪塔 (重文)。
十三重塔と同時期の造立、鎌倉後期の典型的な五輪塔。
地輪から空輪迄の形状が良く整っている。

私め、石塔には余り興味が無いのでこの位にて。

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【写真上】本堂一写。
昭和62年(1987)の再建、入母屋.本瓦葺。コンクリにしない所処に好感が持てる。

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【写真上】境外の西裏山に鎮守する、白山神社と春日神社。
左:白山神社社殿 (重文)。
室町中期(1442)建立、一間社春日造、檜皮葺。 
右:春日神社社殿 (府登録文化財)。
江戸中期(1661~1750)建立、一間社春日造、檜皮葺。

013_2【写真左】白山神社.社殿近景。
現在は岩船山の産土神として祭祀されているが、元来は岩船寺の鎮守社であったもの。
古来、鎮守社に春日.白山の二社を祀るのは、南都仏教支配下の山中修行寺院に良く見られる。

三重塔とほぼ同時代の造営と思われ、室町中~後期の摂社形式に良く見られる典型的な一間社春日造。
併設する摂社.春日神社は白山社と同様式。
江戸中期に勧請、復古的に造営されたもの。

と、こんな所処にて。
この後は徒歩でてくてく30分、浄瑠璃寺へと向かいました。

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