●加茂三塔巡礼「浄瑠璃寺」
えー、先日帰京の後日談.7月17日分その弐。
三連休中日の日曜日、焔威振るう極暑の中は南山城へ。
八年振りに「加茂の里」、真言仏刹三塔を巡拝して参りました。
そんな訳での三山遍路記その二、「岩船寺」篇で御座います。
【写真上】三重塔 (国宝)。
平安後期建立.治承2年(1178)移築 三間三重塔婆.塔高16.08m 檜皮葺。
各重の平面逓減が少なく柱間も狭いので塔身が細長く感じるが、屋根の勾配が真反りに近く軒も深く作っているので、見た目の安定感がある。
素朴で小振りな中にも瀟洒さの感じられる三重塔。
平安末期、京都一条大宮から移されてきたものであるが、同時代この当尾は摂関家領であり、恐らくその関係のある貴族邸宅(浄土式庭園)からであろうと思われる。
【写真上】浄瑠璃寺本堂(国宝)。
嘉承2年(1107)建立 桁行11間.梁間4間、一重.寄棟造.向拝一間.本瓦葺。
一見、簡素な住宅様式の本堂。
造営時は池東にあったものだが、保元2年(1157)に現在地へ移築された。
寛文6年(1666)に檜皮葺を本瓦葺に、天保10年(1839)に屋根正面に向拝を附した為、創建時にあったであろう寝殿造的な優雅さは損なわれている。
同本堂は藤原時代に流行した九体阿弥陀信仰の形式を残す唯一の遺構。
往時は記録に残るだけで、30以上の九体阿弥陀堂が造られたとされる。
【写真上】此岸(現世)より望む彼岸(来世)。
「阿弥陀さま、なむなむ…」
【写真上】彼岸(来世)より眺む此岸(現世)。
「薬師さま、なむなむ…」
阿字池を挟んで、東方浄瑠璃界(三重塔)と向かい合う西方極楽浄土(阿弥陀堂)。
と、こんな所処にて。
この後は加茂駅に戻り約30分の小登山、海住山寺へと向かいました。