●続.園城寺にて
えー、先日帰京の後日談.7月18日分その弐。
台風6号接近の影響で雨風降り敷く月曜日、私めは一路近江国に。
逢坂の関を越え、「湖西の天台寺院」へと足を運んで参りました。
そんな訳での「三井寺参詣記」.続篇で御座います。
「鬱蒼と繁る樹木群」「鈍黒の光沢を放つ甍」「一面に敷き詰められた砂利道」。
そして「苔撫した石垣や石段」…。
少し計り足元が悪くとも、仏刹や神社は雨濡ち空気湿っていた方がより一層風情のあるものです。
実はこんな強雨の日に訪れたのも、実は確信犯なものでして。
【写真上】土塀越しに望む光浄院客殿。(国宝)
【写真下】同.二脚門(勅使門)より眺む。
慶長6年(1601)建立、桁行七間.梁間六間、一重.入母屋造.妻入(正面軒唐破風付)、
総杮葺。
桃山期を代表する書院造建築物として極めて貴重。
蔀戸や中門廊を残してている等、外観は寝殿造の色合いが多分に残るが、五間ある殿内の部屋割りや上座に書院が設けられている点では書院造(住宅建築)への移行要素が強い。
尚この様に寝殿造が書院造へと変化する過程の様式を、主殿造として分類する場合もある。
類例としては東寺.観智院、少し趣が変わるが瑞巌寺や醍醐寺三宝院など。
【写真上】光浄院客殿.近景。
園城寺山内には三棟の国宝建造物(を含むと四棟)がありますが、しかし前述の金堂以外は通常一般公開されていません。
数年前の特別公開時に拝観した事はあるものの、今回は塀越しの鑑賞のみ。
…の筈だったのですが、嬉しい誤算発生。
偶々用事で院内に入っていく工務店さんが一言。
「一寸位だったら覗いていく?」。
そんな訳で前庭辺り迄入れたのでした。
【写真上】同.全景。
二脚門の延長線上に軒唐破風を付した車寄が設けられており、此処が客殿の正式な入口である。
【写真上】一切経蔵.全景二写。(重文)
室町中期建立、桁行一間.梁間一間、一重裳階付.宝形造、檜皮葺。
大仏刹の伽藍でで基壇が乱積なのは珍しい。
慶長7年(1602年)、山口.国清寺の経蔵を移築したもので、山内唯一の純禅様建築物。
裳階部庇の出が非常に大きく方一間とは思えない程の規模、中位禅刹の法堂と云っても差し支え無い程。
屋根が宝形、軒も板軒と建物の格は高くは無いが、何より均衡のとれた外観が美しい。
この後は雨足が強くなる中、唐院へと向かいました。
続篇は亦後日にて。
« ●園城寺にて | Main | ●続々.園城寺にて »