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2011.08.03

●加茂三塔巡礼「海住山寺」

えー、先日帰京の後日談.7月17日分その参。

三連休中日の日曜日、焔威振るう極暑の中は南山城へ。
八年振りに「加茂の里」、真言仏刹三塔を巡拝して参りました。
そんな訳での三山遍路記その三、「海住山寺」篇で御座います。

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【写真上】五重塔.近景三写(国宝)。
建保2年(1214)建立 三間五重塔婆.裳階付.塔高17.7m 本瓦葺(裳階部銅板葺)。
鎌倉期建造の五重塔唯一の遺構。
特徴として初重に吹放しの裳階を設けており、現存する裳階付きの層塔は法隆寺(五重塔)、薬師寺(三重塔).安楽寺(八角三重塔)だけである。

亦、造営の目的が「仏舎利安置」と本来の塔婆建造の意図に則ったもの。
それもあり五重塔としては最小規模の五重塔の部類(室生寺に次ぐ小型五重塔)で、組物は各重二手先となっている。

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【写真上】同.南西側より、この辺りからの構図が最も麗姿に映る。
初重が方九尺.二手先と小型の上に全体的に細身の塔姿。
屋根部の逓減率が大きいのと、二重以降の層高が迎えられている事で諧調のとれた整律さを感じる。
亦、初重の裳階が安定感を、四囲縁の吹放ちが軽快感を与えている。

全体的に純和様を踏襲した平安好みの建築だが、南都仏教の古色も感じる瀟洒な五重塔。
因みに裳階部は室町後期から桃山期頃に撤去されていたが、昭和30年代の修復時に旧態を復古したもの。

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【写真上】文殊堂。(重文)
鎌倉前期建立 桁行三間.梁間二間、一重.寄棟造、銅板葺。
山内もう一棟の古建築、五重塔と同時代からのやや後時代のもの。
寄棟.白壁塗と、装飾的要素の少ない小堂。

元来は経蔵としてあったものだが、時代が下るに従い経典収蔵機能を喪失、堂宇の役割が変わっていったものと思われる。

と、こんな所処にて。
この後は恭仁京跡へと向かいました。

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