●あだしの「賽の河原」
奥嵯峨.化野念仏寺では昨日と今日、「千灯供養」が営まれております。
此処「あだしの」は平安以来の葬送地にて、千二百年来の無縁仏も数知れず眠っている事でしょう。
昨年久し振りに足を運びましたが、その寂寥とした雰囲気は華やかな催しの多い「ミヤコの祭催事」の中でも異色なもの。
私め「水子」に心当たりは御座いませんが、それでも蕭々と手を合わせて参りました。
この「晩夏」歳時記を終えると、嵯峨野には…。
例えば野には「薄穂」、空には「秋茜」、音には「轡虫」「蟋蟀」。
洛中に較べ、一足早い初秋気配が訪れて参ります。
去りゆく夏 石仏に祈り
化野念仏寺 「千灯供養」
京都市右京区嵯峨鳥居本の化野(あだしの)念仏寺で23日夜、無縁仏にろうそくを供える「千灯供養」が始まった。数千の石仏や石塔が並ぶ境内で、柔らかな夜風に炎が揺らめいた。
化野は古くから葬送の地で、供養のために石仏がまつられてきた。長い歴史の中で無縁となり散在していたが、明治時代に地元住民らが集めて供養したのが千灯供養の始まりとされる。
午後6時から参拝が始まった。読経が響く中、参拝者は先祖の名を書いた経木(きょうぼく)を納めた後、石仏や石塔が並ぶ「西院(さい)の河原」でろうそくをそっと供え、手を合わせていた。
夫を亡くしてから同寺近くに住み、毎年孫と訪れている中村照子さん(77)は「ただ無心で手を合わせました」と穏やかに話していた。24日夜も営まれる。中学生以上千円。
(文.写真共 京都新聞8/23より)