●「音羽詣」続篇
えー、昨日の「護国寺」参詣記、続篇にて。
基本的には月光殿だけを観に行った様なものですが、折角なのでその他の建築物に就いても少し触れておく事に板島す。
【写真上】仁王門。(区指定)
17C後半~18C前半建立、三間一戸八脚門.切妻造、本瓦葺。
ごく一般的な三間二間の八脚門。
江戸期建造、幕府祈願寺のものとしては簡素な造り。
将軍家御成りの際には、方丈方面の総門を使用したと思われる。
【写真上】本堂。(重文)
元禄10年(1697)建立、桁行七間.梁間七間、一重.入母屋造(向拝三間)、銅板葺。
全体的には和様形式の大型仏堂、所謂江戸期建築の典型。
古代から中世の様式を基調とつつ、華美な彫刻や彩色を施す。
同時期の寺社建築にありがちの行き過ぎた装飾にはならず、程々の調度に落ち着いているのは好感が持てる。
【写真左】鐘楼。(区指定)
天和~元禄期(17C後半)建立、桁行一間.梁間一間、重層袴越付.入母屋造、桟瓦葺。
類例の多い一般的な鐘楼だが、全体的なプロポーションは良。
袴越部が縦板張りでは無く石積みを擬した人造石で作られているのが特殊だが、勿論近代以降の補作であろう。
【写真左】大師堂。(区指定)
元禄14年(1701)建立、方三間一重.寄棟造、桟瓦葺。
【写真右】薬師堂。(区指定)
元禄4年(1691)建立、方三間一重.宝形造(向拝一間)、桟瓦葺。
堂宇の持つ役割自体は変遷しているものの、本堂と同じく創建時の伽藍。
幾多の罹災にも消失せず、元禄期建造物が現存している点では貴重な遺構。
建築的には時代.様式共類例多く、特に解説無し。
【写真上】多宝塔。
昭和14年(1939)建立、方三間多宝塔、桟瓦葺。
中央間に板唐戸、脇間に連子窓を配した古典的様式。
下重の軒高が大きく上重径は可也細身のプロポーション、加えて組物が四手先。
これにより上層屋根の軒が塔身に対して深くなり、塔の安定感を増している。
屋根の反り具合、相輪高と塔身高のバランスも程好い。
近代建造の多宝塔としては出色の意匠、昭和を代表する仏塔建築と云っても過言で無いだろう。
【写真上】御約束、例に由っての喫煙所一写。
この日は午前中から「かんかん照り」。
「肌刺す日差し」と「蝉時雨」が降り注ぐ夏日和で御座います。
境内を眺めつつ暫し一服、滴る汗を拭った後は急ぎ冷房の効いた地下鉄改札へと潜り込んだのでありました。
おはり。