●西大寺から「秋篠寺」へ
えー、正月帰京の後日談、1月8日は「平城京新春マラソン」に参加した際の事。
受付からスタート迄、約2時間程の空き時間がありましたので、アップがてら秋篠寺へ足を運んで参りました。
そんな訳での「南都.北一条巡礼」その一、「秋篠寺篇」になります。
【写真上】秋篠寺本堂(国宝)、全景三写。
鎌倉前期建立 桁行五間.梁間四間、一重.寄棟造、本瓦葺。
南都仏教寺院復興期に当たる鎌倉前期の再建、上代の金堂建築様式を良く伝える五間四面堂である。
「基壇は古代寺院通例の壇正積とし、床は板張りとせず土間とする」「屋根は寄棟とし、緩勾配で軽快な外観」「装飾的要素を持たない簡素な組物」「漆喰壁を基調とし、連子窓を配した柱間や内開きの板扉」等、極めて旧例を守っている。
素朴で簡素な中に上品さを併せ持っており、屋根勾配と棟長.大平のバランス、軒延びの美しさは特に秀逸である。
【写真上】近景一写。
同期は奈良寺社の再建が数多く行われており、様式的には
①大仏様を主として建てられたもの。
②大仏様や平安期の住宅建築の要素を一部取り入れた新和様。
③新様式の受容を極力抑え、古式に則ったもの。
の三つに大別出来る。
前述の様に秋篠寺本堂は③の代表的遺例として貴重な建造物である。
尚、①には「東大寺南大門」「同.開山堂」、②には「元興時極楽坊本堂」「興福寺東院堂」等が挙げられる。
【写真上】側面より。
造営当時は前面一間通りを吹き放ちにしていたとされ、唐招提寺金堂に見られる様な天平後期の仏殿様式に則っていたと思われる。
明治期の改修により現在の姿に改められた。
【写真上】組物近景。
組物は平三斗、中備は間斗束、共に簡素なもので装飾意匠は全く無い。
側面板扉や連子窓の楣が貫になっているのは数少ない新様式の手法である。
【写真上】おまけ一写、前庭東側の喫煙所。
天平情緒溢れる国宝本堂を眺めながら一服出来る、有難い場所。
山城.大和の御仏は、基本的に喫煙に寛容であられるのです。
そんな訳で小一時間の秋篠滞在。
この後は急ぎ平城宮跡に戻り、大会に参加したのでした。