●参道にマンション
えー、本日は「私めが『酒司』だった」頃、に関するおハナシ。
嘗て赤坂に暖簾を掲げていた弊亭、店内でお出しするお水は全て「染井」で汲んできたものでした。
帝都でミヤコの井戸水を供するのは費用と労力からも非効率の極み、カナリ「阿呆」のやる事です。
然乍らそー云う「徒爾」が何よりも好きな私め、せっせと月イチで水を汲みに上洛し、亦ミヤコの同業知己にも月2~3回ポリタンクを送ってもらってたのでした。
と、例に由って「長い枕」となりましたが、以下本題。
その染井戸の所在する「梨木神社」さんで、何と参道前にマンション建設が立案されているとの事。
しかも東京や大阪のゼネコンが市.各種建築条例の網目を掻い潜って計画したのかと思いきや、音頭をとっているのは当の梨木さんで御座います。
しかしこの件、一概に神社サイドに非難の声を上げる訳にもいかない事情もあるのでして…。
創祀1885年とミヤコでは「つい最近」出来たばっかりの梨木さん、当然の如く境内建造物は近世以降のものだけでして、文化財指定になっている物は一宇もありません。
従い建物の老朽化に伴う改修に国や府.市からの補助は皆無、資金は自前で捻出するか氏子その他の寄進に頼るしか無いのです。
近年梨木さんは本殿等の大規模な普請を行った計り、更に重なる修築に資金繰りも立ち行かなくなり、結果こう云う選択になったのかと思われます。
実際ミヤコの小寺小社には、金策滞り「築地塀が崩れた儘」「屋根瓦が剥がれた儘」だったりする風景を至る所処で目に致します。
ま、洛中ど真ん中に位置し分譲出来る土地があった分、梨木さんは皮肉にもこう云う形で「打つ手があった」のでしょう。
角云う私めも「水20ℓ」汲んで300円しか賽銭を納めなかった身。
余り文句の云える立場ぢゃ無いものでして…。
梨木神社境内にマンション計画
京都御苑の東隣
京都御苑の東隣にあり、ハギの名所として知られる梨木神社(京都市上京区)が境内の土地を業者に貸し、マンションの建設計画を業者が進めていることが10日、分かった。同神社は「本殿などの改修費用を借地料収入で確保する」と説明している。
計画では、境内約8100平方メートルのうち、参道があり、駐車場として使っている南側部分約2100平方メートルを、下京区のマンション開発業者に60年間の期限付きで貸す。業者は地上3階(最高部は13メートル)と地下1階で、35室の分譲マンションを建設し、2015年に完成する予定だ。
梨木神社は昨年、所属する神社本庁(東京都)に建設計画を伝えた。しかし、参道上に建設し、御所に近いため承認を得られず、同庁を離脱した
多田隆男宮司(62)によると、京都三名水の一つとされる「染井の井戸」は現状のまま残る。神社は2011年、老朽化した築130年の本殿や拝殿などを約1億3千万円かけて改修。社務所や能舞台などの改修も予定しているが、寄進が集まっていない。
市によると、現地は高さ15メートル以下ならマンションなどを建設できる地域。都市計画法に基づく歴史遺産型美観地区のため屋根や軒の設置が必要で、周辺と調和した色合いにしなければならない。市眺望景観創生条例で京都御苑から見える眺望を建造物で阻害しないよう求めている。
梨木神社は1885年の創建。王政復古を唱え、明治維新の原動力となったといわれる三條実萬・実美の父子を祭神としてまつる。
(文.写真共 京都新聞9/11より)
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