●2014/15ニューモデルスキー.インプレ②
えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
今年は滑走日数がヘヴィローテーションの為、アップが大分遅れてしまいました。
そんな訳でのインプレッションその②、「ロシ.ディナ編」で御座います。
【写真上】3/20、戸隠試乗会の様子(タナベスポーツさん主催)。
今シーズンの参加試乗会は「3/8.五竜いいもり(アルペン)」「3/21&23.戸隠(タナベスポーツ)」「4/13丸沼(パワーズ)」「4/17かぐら(KAMP K2)」の計5回。
今年も「小回り~中回り基軸の基礎板」を中心にテストして参りました。
尚、試乗者スペックは以下の通りになります。
年齢 アラ4(おっさん)
体格 身長172㎝ 体重59kg
体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分)
技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
滑走日数 毎季約約30〜50日
現行板 DYNASTAR/SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)
・ROSSIGNOL/DEMO ALPHA R20 RACING(165㎝)
BIN/AXIAL3 120MFX SC/120-67-103 R/13
試乗インプレの前に先ずコメント。
来季の「α-R20 RACING」は、名称こそアルファの冠を継続しているものの昨季よりフルモデルチェンジ、…と云うか「全くの別物」となっています。
しかも「Demo」の名こそ付いていますが、中身はSL競技板そのまんま。
プレートビスを複合素材にしたのみで基礎機としての味付けは何も行わず(多分)、それを今季「デモモデル」としてリリースしています。
素性がソレなので、板はグイグイ縦に走って行きます。
しかし中低速での操作性が甚だ鈍重、勝手に真っ直ぐ落ちて行く感。
クルージングの速度域では、たわませる事すら難儀です。
高速域になって漸くスペック通りの性能を発揮しますが、可也扱い難い板。
しかも使用レンジも限定されており「コブ駄目」「低速駄目」「ザラメ軟雪駄目」。
果たしてこれを「基礎機=オールラウンド板」としてリリースして良いものやら…。
此処近年の国内スキーシーンでは、競技板に基礎色を加えた路線の板が人気を博していますが、単にそれにテケトー乗っかっただけの感。
正直悪意にも似たセールス意図が感じられる「ジャパンモデル」です。
SLセカンドモデル/準競技板としての企画販売だったら評価も全く変わってくるのですが、それでは日本の基礎スキーヤーの食い付きが悪いんでしょうね。
尚、板そのものに付いてのコメントをもう少し。
センターがやや前よりに設置されているのでターンの入りはダイレクト、そのまま鋭角的にフォールラインへ落と込んでしていくと抜群の加速を見せてくれます。
サイドカーブとフレックスの硬さに乗じて落差を取ったショートが真骨頂、但し一般基礎板の様に「丸~い弧」を描いてくれる感じは稀薄です。
まぁシェイプ見りゃ解りますかね。
フレックスはメタル全開の強靭な板張り感も、プロップテックの恩恵からかトーションは然程強く感じませんでした。
あと、それなりのスキーウエイトはありますが、アト/サロ的「どっしりとした重厚さ」と云うより「カッチリ硬質」、湿り気の無いイメージ。
うーん、上手く表現出来ないな…。
・ROSSIGNOL/DEMO ALPHA Soft TPX(167㎝)
BIN/AXIAL3 120 TPI2 B80 SC/122-68-104 R/13
「R20 RACING」のコメント通り、来季のロシ基礎板は実質これが最上位モデル。
去季モデルからの継続機でサイドカーブやRは同一も、テクノロジー的にはフルモデルチェンジ、従い乗り味は大きく変わりました。
ターン始動はストレスレス、後半の加速も切れ上がり良、安定感もまぁ水準レベル。
只、この板をセールスするとして「じゃ何が特に秀でてるの」と云われると…。
他の優良小回り基礎機を排して迄の「アドバンテージ」、私には見つかりませんでした。
えぇい、正直云います。
「ショート極化」と云う意味では旧モデルの「α-R20」より一歩落ちる感。
スパスパと切れキュンキュン走る「高速反復横跳び」的イメージは影を潜め、全般的に特徴の無い小回り機になってしまいました。
じゃミドル~ロング耐性が強くなったかと云うとそうでも無し、基本的には内~内へと入って来たがるタイプ。
「万能性」「高速安定性」「小回り特化性」万遍無くホドボトです。
WCのアルペンシーンでは相変わらず好調を維持しているロシですが、こっちの分野は片手間にやってるとしか思えない出来。
「α-R20 RACING」共々、期待していた分残念としか云えませんでした。
・DYNASTAR CR DEMO 65 R20 RACING(165㎝)
BIN/SPX12MFX SC/118-66-101 R/12.7
現在私めの愛機がディナの「SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)」。
そんな訳で後継機種のブラッシュアップに興味深々でのテストです。
しかし板なりに走らせると、「あれっ」て云う違和感。
ディナの基礎機トップモデルは今季よりメタルが入り、基本構造が大幅に変化。
只、それが「良い意味」でも「悪い意味」でも出ている様に感じました。
一昨年からのディナ/ジャパンモデルの白眉な点として、「ウッド+グラス」基軸の芯材にプレートとのバランスが秀でた点にありました。
「硬過ぎず軟らか過ぎず」「重過ぎず軽過ぎず」「たわみも走りも引き出し易く」、ポテンシャルの割には乗り手レベルや滑走シチュエーション設定が広かったのです。
それが板張り感(メタル感)が強くなった為たわみが引き出し辛くなり、中低速域では操作性が鈍く板が余り云う事を聞いてくれません。
反面、重厚さを増し高速域やバンピーなバーンではの信頼性は増したって感じ。
要するにスキーの性能を発揮するレンジが上にシフトしたと云えます。
但し私めが軽量スキーヤーの為もあってこんな感想ですが、ウエイトのある方なら「あれ、そーかな?」と思われるかも知れません。
守備範囲はカタログスペック通り、小回り基軸に中回り迄。
センター幅がこれですので(66㎜)特に安定感に秀でているとは云えませんが、小回りレンジでのスピード対応には問題無し。
切り替えはダイレクトにもルーズにも対応、ショートに関してはポジションも余りシビアに考えなくて大丈夫です。
スキーのバランスからして、ブーツ下から後ろ寄りで加速すると云うより「サイドカーブ全体を使って」「線(エッジ)にも面(ソール)にも偏らず」走らす板。
以前の欠点であったターン後半の引っ掛かり具合も解消されていました。
基本的にはオートマ色は薄く、マニュアル路線の板です。
・DYNASTAR CR DEMO 70 FLUID X(165㎝)
BIN/SPX B80 SC/125-70-105 R/13
いゃあ「クルクル」回ります。
165㎝をテストましたが150㎝程度の板に乗ってる感覚、云い換えると板の接雪面が数㎜浮いちゃってる様なイメージです。
ターン初動から「すっ」と入って行き「キュイン」と回って終了。
緩~中斜面の小回りでは、無敵とも云える取り回し易さでした。
しかし速度域を上げて行くと雪面コンタクトが心許無く、正直急斜でこの板は怖い…。
特にターンの入りで、トップの掛りが消えちゃてる様な頼り無さがあります。
ターンサイズも「ショート一択」、中回りでチト苦しくなりました。
どっちかと云うとエッジというよりはソール全面を多く使っている滑走感。
その割に小回りの反応は俊敏、その割に板の挙動は中速を超えると不安定。
強いて云うと乗り味「だけ」ならフォルクルSWに近いですが、小回り特化+全般的にグレードダウンした感(全然褒めてないな…)。
まぁ「常時安全運転」で「小回り大好き」「体力不安」な方には面白いかも。
あと、春軟雪とかには向いてそうです。
因みに去年に続いてヘンな頭(トップ形状)は継続。
以上、こんな所処にて。
ニューモデル試乗インプレ、次回はサロモン篇になります。