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2014.05.13

●2014/15ニューモデルスキー.インプレ③

えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
今年は滑走日数がヘヴィローテーションの為、アップが大分遅れてしまいました。
そんな訳でのインプレッションその③、「サロモン編」で御座います。

Zzz
【写真上】3/20、戸隠試乗会の様子(タナベスポーツさん主催)。
今シーズンの参加試乗会は「3/8.五竜いいもり(アルペン)」「3/21&23.戸隠(タナベスポーツ)」「4/13丸沼(パワーズ)」「4/17かぐら(KAMP K2)」の計5回。
今年も「小回り~中回り基軸の基礎板」を中心にテストして参りました。

尚、試乗者スペックは以下の通りになります。
年齢 アラ4(おっさん)
 体格 身長172㎝ 体重59kg
 体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分) 
 技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
 嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
 弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
 滑走日数 毎季約30〜50日
 現行板 DYNASTAR/SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)

31
・SALOMON/X-RACE PLATE XX(165㎝)
 BIN/X12LAB SC/120-70-104 R/13
・SALOMON/X-RACE PLATE XX(170㎝)

 BIN/X12LAB SC/120-71-99 R/15
LABを叩き台に基礎色を加味したコンセプト、昨季からの継続モデル。
大幅なブラッシュアップは無く、コスメ&微調整レベルの変更らしいとの事も「多少DEMO色が強く(乗り味がマイルドに)なったかな」てな感じでした。
まぁそれでも板の直進性やフレックス.トーションは一般基礎板よりカナリ強いです。


先ずは170㎝、板なりに走らせてみて真っ先に感じるイメージは「重っ」。
実際170㎝で3700g近くあり、基礎機としては最重量のスキーウエイトです。

そんな質感に反してターンの入りはスムーズ、グリップも早いタイミングでしっかり。
意外やスキー自体にクセは無く、寧ろ素直な操作感。
「弾力を伴った重厚さ」とでも表現したら良いのでしょうか、重くて硬くて強いのに柔軟さすら感じる乗り味の良さです。
そして中~後半の加速がこの板の真骨頂、「キュイーン」では無く「ギュュィィーン」と云うイメージ。
やや後ろ目を意識しつつ、センターからテールに掛けての粘りを伴った返りがエクスタシーな走りを生み出します。

板の安定感に関してはもう申し分無し。
センター/ブーツ部を中心に「根っこ」が延びている様な雪地吸引力です。
ダイレクトなクロスオーバーの切り替えでも、足元支点の不安は全く無し。
多少外脚の捕えが甘くても、乗り手の不首尾を補うコンタクト感を保ってくれます。
スキーヤーの「絶対速度域」を引き上げてくれる、と云う意味では数ある来季モデルの中でもピカ一でした。

但しショートに関しては「板成り」の小回り。
Rに則ってスペック通りに小さ目の弧を描く、てな感じでアトLXと同類項なイメージ。
170チョイスで「キレのある小回り」を表現するのは、余程の強者でないと難しいかと。

あと、コマッタ事と云えば。
中の上級レベルでも「乗れる」板なのですが、「乗りこなす」のは至難の業。
矢張り最低限以上の足前と体力(体重も)が必要、この点については兄弟板のアトLXよりもハードルが高いでしょう。
中斜面レベルだと対応出来ても、高難易(急斜/バンピー/アイスバーン)な状況では板の加速に付いていくのが精一杯、と云うか加速を生み出せるのか?。
家賃の高いスキーヤーだと、「耐える大回り」ばっかりになってしまいそうです。

適正対象は最低でも体躯のしっかりした上級スキーヤー。
出来れば「テク.クラ」or「競技経験者」レベルかと。
あ、それとブーツチョイスに就いてはアトのSX/LXと同様に注意が必要。
ヤワいブーツだと役不足で拉げてしまいます。

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165㎝に就いても基本的な乗り味は同様。
低速時には小回り機的な軽快さよりも、どっしり板の自重を強く感じます。
但し滑走中のフィーリングやターン性能は170㎝同様、意外と素直な操作感。
小回りの急激なエッジングに対する反発もマイルド、板がレスポンスを上手く均してくれる感じです。

但し「小回り機」と云うカテゴリーから一般的に想像される軽快さはありません。
自由自在に操るタイプでは無く、あくまで重厚路線の板。
ハイスペックな性能に反して乗り味はマイルドに仕上げられていますが、スピードやターンの繋ぎをコントロール出来ないと、加速に従い板に振り回される恐れがあります。
個人的には忙し目のショートより多少コース幅を取ったミドルターンの方が板の性能を引き出し易い様に感じました。

因みにアト程極端なオートマ感はありませんが(特にターン中後半部)、結果的には板のウエイトと安定性を利しての受動的な滑りが多くなってしまいました。
そー云う意味だと矢張りオートマ板かな。

あと、170㎝程では無いですが、矢張り軽量ユーザーにはチト辛いです。

32
・SALOMON/X-Kart Max (164㎝)
 BIN/Z12SPEED SC/122-71-108 R/12

続いてはサロモンの異端児「X-Kart」。
一応先に云っときますが、この板は「基礎機」ではありません。
立ち位置的に例えるなら「超特化型小回り専用機/カービングマシーン」てなカテゴライズでしょうか。
一昨年の1stモデル以来、ウェイトバランスに微変があろうがそのベクトルは不変。
一貫したコンセプトを持っての継続リリースです。

十八番のショートターンに就いては「官能的」な程にキュインキュイン回ります。
ターン導入からクイック&シャープなカービング弧を描き、エッジグリップも確り、後半の走りもキレ.加速感申し分無し。
それでいて返りのレスポンスも均一で、「ドンピシャ」足元に戻ってきます。
小回りレンジでの高速域なら安定感も充分、多少のギャップにはビクともせずソール面全域でコンタクトしているかのようなベッタリ感すら感じ取れます。
旧機に較べると落差を取ったショートもし易くなりました。
対応コンディションも「バンビーバーン」「アイスバーン」「バンクコブ」何でもござれ。

但し少しでもターン弧を大きく取ろうとすると「クイクイ」トップが内に切り込んできます。
深回りミドルならギリギリ可、落差を取ったミドルは正直気持ち良くありません。
ま、超小回り特化型なので、コレは欠点と云うより特性ですかね。

それとこの板乗ってると、滑り方が固定されてしまう様な。
やや低めのポジショニングで上半身はフォールラインにロック、ベンディング系吸収動作を用いた高速カービングショート、こればっかを延々一日中やってるのも飽きるかな…。
個人的には此処迄個性の際立った小回り機、潔いと思いますけどね。

33
・SALOMON/24 Hours Max (170㎝)
 BIN/KZ12 SC/120.2-72-103 R/14.7

昨季モデルからトップロッカー仕様、現行のテクノロジー&サイドカーブ仕様。
果たして今季はコスメ以外の変更はありませんでした(多分)。

去年から継続した印象として、初期24Hoursに較べ「重厚さ」に軸足を移した路線。
取り回しの容易さを削って、滑走中の安定感にバランスシフトしています。
事実スキーウエイトは「170㎝/3400g弱」、基礎機として軽い部類には入りません。
ですから「24時間どんなゲレンデシチュエーションでもイケますよ~♪」って謳い文句から想像される程、取り回しが楽チンな板では無いのでして。

まぁコンセプト上「滑走シチュエーション」や「ユーザー幅」を特化する訳にはいかないので、バランスの落とし所としては適切だと思います。
但しその「万能性」が却ってマイナスセールスになっている嫌いもあり、中級者にとっては「鈍重」「意外と硬くて重い」、上級者にとっては「物足りない」「個性が無い」、てな評価になっているのでしょう。

ショートでは操作性の軽快さ、ターン中盤のキレや後半抜けの加速感が物足りない。
(X-Kartよりは落ちるも、中~上級者向け基礎板としては水準レベル)
ロングでは高速域での推進力、ギャップの吸収力に不満を感じる。
(X-RACEよりは落ちるも、中~上級者向け基礎板としては水準レベル)
てのがテストの感想、しかし裏を返せばやっばり「何でもソコソコ以上」な訳。
コレを以て「面白味に欠ける」ってのは、少々可哀想な気がします。

実際一番ジャストフィットだったのがミドルターン。
速度域問わずコントローラブルでたわみも引き出し易く、安定性も不満無し。
ややオートマシフトの操作感ですが、過度な押し付けがましさはありません。
ゆっくり落差を取ってサイドエッジに「合わせた」中回りは、快適の一言でした。
ま、どんなターンサイズを選んでも回旋フィーリングが一緒で、乗り味が単調な嫌いはありますけどね。

そんな訳でこの板はこの路線の儘で良いの鴨。
但しトップシートのデザインは早急に何とかした方が良いと思われます。

以上、こんな所処にて。
ニューモデル試乗インプレ、次回はフォルクル/フィッシャー篇になります。

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