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2015.04.11

●2015/16ニューモデルスキー.インプレ③

えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
インプレッションその③、「ヘッド篇」になります

今シーズンの参加試乗会は「3/9.五竜いいもり(アルペン)」「3/14.黒姫(スポーツゼビオ)」「3/21.苗場(JSP)」「4/28.戸隠(タナベスポーツ)」の計4回。
例に由って「小回り~中回り基軸の基礎板」を中心にテストして参りました。

A3_2
【写真上】3/14(土)、黒姫試乗会の様子(ゼビオさん主催)。
尚、試乗者スペックは以下の通りに成増。
  年齢 アラ4.5(おっさん)
 体格 身長172㎝ 体重59kg
 体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分) 
 技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
 嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
 弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
 滑走日数 毎季約30〜50日
 現行板 DYNASTAR/SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)

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・HEAD/ i.SUPERSHAPE SPEED (170cm)
 R/14.3 SC/119-66-98
 (2014/15より変更無し)

此処近年、トップロッカー/トライフレックス導入とブラッシュアップを続けているスーパーシェイプシリーズ。
今季のヘッドさんは継続モデル、トップシート以外の変更は無いとの事です。

SPEEDはヘッドのブランド特性を、特に顕著に感じさせてくれる一台。
「過度な板返りや先走りは皆無」「マイルドな滑走フィーリング」「良い塩梅なオートマ/マニュアルの操作性折衷具合」と云った乗り味は如何にも「ヘッド的」。
ターンの入りから仕上げに至る迄ストレスを感じない操作性や、「ズラし易さ」と「サイドカーブ全体を使った撓ませ易さ」も特筆モノ。
勿論落ち着いた雪面コンタクトは健在、スキーウエイトは然程でないのに(3125g)自重以上の安定感を持っています。
総じて「潤い豊か」「湿り気たっぷり」と云ったイメージ。
数年前の野暮ったい「もっさり感」が年々研磨.洗練されてきています。

スキーの走りで印象的だったのは得意レンジのターンサイズでの後半伸び。
フォールラインからストレートに加速して行く「縦走り感」は気持ち良いの一言です。
「ギュューン」ではなく「ススゥー」と云ったイメージのマイルドな直進加速感。
乗り手を運んで行ってくれる様な優しい伸びは、同社の「WORLDCUP REBELS i.SPEED」を基礎板的に大人しくした感じでした。
下掲「MAGNUM」と同じ170㎝ですが、良い意味で「板の長さ」を感じます。

小回りに関しては170㎝/R14.3と云うカタログスペック通りの板。
センター幅66㎜と云うのが効いているのかソツ無くこなせますが、落差を取ったショートターン位が守備範囲、リズム良く刻むと云う点では一歩劣ります。

と、中大回りをベースに小回り迄包括したオールラウンド機ですが、矢張り真骨頂は大き目のターンサイズ。
ミドル~ロングでは速度域問わずのコントローラブルさで、クルージングレベルでも滑らかな操作性を誇ります。
雪面コンタクトの安定感はどっしりと落ち着きを感じさせる反面、取り回し自体は非常に楽チン。
「重厚系」「軽快系」路線の折衷、「良いトコ取り」をした様な乗り味です。
但しスーパーシェイプシリーズ全体に云える事ですが「食い付く様なエッジグリップ」とか「キレキレな加速」とか「爆発的な伸び」とか、そー云った方向性では無く、あくまでベースは「マイルドチック」です。

欠点としては特に無し。
ユーザー幅も幅広く、2級クラスから一般上級.エキスパート迄オケー。
悪雪.コブなど「何でも出来る感」ならMAGNUMに分がありますが、板の走り自体はSPEEDの方が上。
其処んトコのチョイスは、ターンサイズ含めてユーザーの嗜好と云う事で。

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・HEAD/i.SUPERSHAPE MAGNUM (165cm)
 R13.1 SC/128-72-106
 (2014/15より変更無し)

小回り路線のフラッグシップ「MAGNUM」も、昨季からトップシートのみの変更。
基本的な乗り味は上掲「SPEED」と同様、ヘッド的な特色を残しつつ年々熟成研磨されマイルドな乗り味に仕上がっています。

「乗り手に優しいマイルドな滑走フィーリング」「安定感に起因するポジショニングの取り易さ」「基本的にはオートマ色濃いも、パワーのある人なら能動的にも動かせる」と云った扱い易さはスーパーシェイプシリーズの共通項。
そして特筆すべきはノンメタル機かと思わせる様なたわみ易さ、上手く粘ってくれる適度な板の剛性、そしてスキッドの容易性。
ホント、扱い易いスキーです。

本分の小回りですが、例えば「165㎝サイズ/センター幅68㎜未満」の純.小回り基礎機に較べると、鋭敏さと云う点で多少落ちるかも。
基本フィーリング自体がヘッド的な「マターリ」落ち着いたイメージで、云い換えると小回り機っぽくないとも表現出来ます。
その典型なのがレスポンス、切り替えが「スパーン」と足元に戻ってくると云うより、落ち着きを伴ってマイルドに「帰って来てくれる」てなニュアンス。
感覚的にミドル仕上げるイメージで結果的にR弧が小さくなってショートになるっ、てな深めの小回りが得意な様に感じました。
要約、カタログスペックよりはややミドルレンジシフトな印象です。

まぁそれを補って余りある凡庸性。
小回り機としてはチョイ長めの170㎝が売りセンサイズなので、その分ターンサイズやゲレンデシチュエーションもオールレンジに対応出来ます。
センター幅が広めなのでポジショニングにシビアさは無く、スポットも広いので遊びも取れる、浮力もあり春のグサ雪にも沈み難い、勿論コブも得意分野…と、まぁ本当に何でも御座れ。
コブに関しては、縦にガツガツ攻めると云うより、裏を削ってズラしたりバンク使ったりと、きちんとターン描く滑りの方が向いていました。

と、ゲレンデユーズの総合力は高い次元で纏まってるし、乗り手の技量を引き上げてくれる点でも優秀。
只、メリハリが無いと云うか、単調なんですよね…。
どんな速度域/斜面難易度/ターンサイズでも走り方が同じで個性に欠けます。
まぁマイルドで落ち着いている事の裏返しなんですけどね。

因みにSPEEDの比較論では、ターン後半の伸びは一歩譲ります。
あとスキー操作がやや忙しなく感じますが、これはラディウス込みで好みの問題。
試乗してみると解りますがこの両者、似ている様で個性の違う「異父兄弟」みたいなもの、スキーヤーによってどっちが好きかはっきり分かれると思います。

最後に個人的な印象ですが。
ヘッドさんはブランドの特性上、ロング~ミドル板の方が「らしい」走りしますね。

以上、こんな所処にて。
ニューモデル試乗インプレ、次回は「ロシ篇」になります。

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