●2015/16ニューモデルスキー.インプレ⑥
えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
インプレッションその⑥、「フォルクル篇」になります。
今シーズンの参加試乗会は「3/9.五竜いいもり(アルペン)」「3/14.黒姫(スポーツゼビオ)」「3/21.苗場(JSP)」「4/28.戸隠(タナベスポーツ)」の計4回。
例に由って「小回り~中回り基軸の基礎板」を中心にテストして参りました。
【写真上】3/21(土)、苗場試乗会の様子(JSPさん主催)。
尚、試乗者スペックは以下の通りに成増。
年齢 アラ4.5(おっさん)
体格 身長172㎝ 体重59kg
体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分)
技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
滑走日数 毎季約30〜50日
現行板 DYNASTAR/SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)
・Volkl/ PLATINUM SD SPEEDWALL (165cm)
R/12.7 SC/123-68-104 (2014/15より変更無し)
「芯材の変更」「UVO標準装備」「ビンディング.プレート変更」と、昨季の大幅なブラッシュアップで高評価を得たフォルクル基礎機シリーズ。
特にSDは「チップロッカー導入」「サイドカーブ/Rも変更」と完全にフルモデルチェジ。
今季はブラッシュアップ無しでトップシートのみの変更です。
プラチナムシリーズの中では硬派色の強いSD、今季もその特性は変わらず。
シャープな走りは健在、SL板的にキュンキュン気持ち良く走ってくれます。
「トップは硬め、テールは柔らかめ」なフォルクル的特性が特に色濃く、カチッとしたターンの捕え。
昨季チップロッカー導入もグリップが弱くなった訳では無く、寧ろターン導入時のマイルドさが増した感じ。
相変わらずの軽快さで取り回しも容易、個人的には何だかキャップ構造のドライな乗り味に近いと感じました。
ターン中後半からの板返りは「たわみ」と云うより「しなり」ってなイメージ。
マイルド調節されているSWに較べ、SDはスマッシュ的に「スパーン」と返ってきます。
この返りを上手く処理出来る方は、リズムに乗った小気味良いショートターンが堪能出来るでしょう。
まぁこの点に関してはあくまでSWとの比較論、他メーカーのリアクションの強いセカンドSLモデルに較べれば上手く纏められており、過度な反発力ではありません。
取り回しの容易さとチップロッカーの恩恵で丸いターン弧も描けますが、スキッド少な目でタイトに攻めたい小回り機。
ターン弧チョイスは加減次第でミドル迄、但し回転半径を大きくとろうとする程、遊びと待ちを取らざるを得なくなり、鋭敏な切れ味は薄まってしまいます。
矢張り守備範囲は狭めの「小回り特化型」として考えた方が良いですね。
適正幅は然程シビアでは無く1級前後からオケー、体躯の縛りもありません。
但し第一印象で「硬い」と感じた方は、止めた方が賢明だと思います。
・Volkl/ PLATINUM CD SPEEDWALL (171cm)
R/16.6 SC/124-76-105 (2014/15より変更無し)
続いては二季振りに乗ったCD、此方もトップシート以外の変更は無し。
一昨年の試乗バーンがガリカリバンピーなコンディションで叩かれまくり、板の特性を引き出せなかったのを覚えてます。
板なりに走らせているだけで明らかに解る、トップ&テールロッカー独特の乗り味。
接雪面から板が浮いている様な感覚は一般基礎機とは異なるフィーリングです。
「マイルド」と云うよりは「たおやか」とか「なめらか」と云った表現、只ちょっと頼りないじゃないか~?てのが第一印象。
今回テストしたのは171㎝も、173㎝のSWより板の長さを感じました。
ターンは入りから終わり迄レールターンをしているかの様なスムーズなエッジ感、「じわわ~っ」とエッジが効いてきて「すすぅ~っ」と角付けが消えていく感じ。
しかし意外とグリップはしっかり、中~大回りでもソコソコ飛ばせるレベル。
幅広のセンター幅と、フォルクルにしては重めスキーウエイトなのが良い按配で効いてます。
カタログスペック通り、基本的は大回りシフトのスキー。
流石に小回りはゆったり目になりますが、板に正対してややルーズ目の中~大回りは快適の一言です。
そして何より特筆すべきは「無茶苦茶ズラし易い」、進行方向と速度調整のコントロールが感動的なイージーさでした。
あと、黒姫での試乗会が季節外れのパウダー日、コース脇を少しツリーランしてみたのですが…、「楽しいぃぃ♥」。
オフピステへの適応性、これは基礎系板で最強クラスです。
「ハイシーズンのパウダー」「湿潤なモサ新雪」「春ザラメのザク雪」「それを通り越したウォータースノー」…。
雪質条件を選ばない凡庸性は「オールラウンドモデル」と云うより「オールシチュエーションモデル」と云った方が正しいでしょう。
若しかするとライバルはセンター幅90㎜前後のセミファットなのかも知れません。
切り替えのもっさり感や朝イチグルーミングバーンでのかっ飛びには、やや難がありますが、タイトな滑りを嗜好される方には鼻っから選択肢外の板。
ですから、コレはコレで良いのです。
・Volkl/ PLATINUM SW SPEEDWALL (173cm)
R/16.5 SC/122-74-104 (2014/15より変更無し)
SWに関しては、昨季のインプレでコメント書き切った感。
ブラッシュアップも無いに等しいので、加筆補正程度に纏めておきます。
ターンサイズもオールラウンドならバーンシチュエーションもオールラウンド、乗り味は優しくユーザーレベルも幅広い、と正にハイレベルな万能基礎機。
「何でも出来る板.大賞」&「乗り手に優しい板.大賞」のW受賞ってな感じです。
ロング~ミドルではカタログスペック(R15)通りのスムーズな弧を描き、ショートでは操作の自由度から小回り機並みの回転性。
「整地ではキレ/ズレ不問」「荒れたバーンでもスムーズな走り」「コブも極端にダイレクトに攻めない限りは問題無し」「春のザラメ悪雪にも強そう」、と守備範囲の広さは特筆モノ。
取り回しの楽チンさも変わりありません。
弧の大小問わずターンの入りはストレスレスのスムーズさ、抜けは乗り手に優しくマイルド、抜けと返りも過不足ありません。
トップロッカー&ライトウェイトの恩恵が最大限に発揮されており「スキーが雪面から1㎜浮いてるんじゃ無い?」ってな回し易さです。
そしてオートマ/マニュアル的バランスも絶妙の塩梅。
行き過ぎたオートマ感は無く「乗り手のマニュアル操作をスキーがオートマチックに導いてくれる」、てなイメージでした。
ゲレンデユーズレベルでは高速域の安定性もさして問題無し。
一昨年モデルに較べ適度な「湿り気」と「落ち着き」が加わりました。
重厚路線板の「自重で抑え込むようなどっしり感」とは違った、「雪面とやり取りを楽しむ」様な温和な安定感です。
尤もこの板の良さが生きるのは、目イチで走らせるより「八割走行」かと。
スキーの素性の良さと万能性を生かすなら、斜面状況や滑走コンディションによってユーザーの技量引き出しをフル活用する扱い方が良いと思います。
まぁ「攻める板」じゃ無く、「上手くなる為(上手く見える為)の板」ですしね。
試乗サイズは173㎝も、165前後の板と変わらない快適な操作性。
男性ユーザーの場合、173㎝「一択」で良いでしょう。
個人的には切り替え時のマターリ感がもうちょい無くなってくれればなー、と思いました。
以上、こんな所処にて。
ニューモデル試乗インプレ、次回は「ノルディカ篇」になります。