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2015.04.13

●2015/16ニューモデルスキー.インプレ⑤

えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
インプレッションその⑤「サロモン.フィッシャー篇」になります

今シーズンの参加試乗会は「3/9.五竜いいもり(アルペン)」「3/14.黒姫(スポーツゼビオ)」「3/21.苗場(JSP)」「4/28.戸隠(タナベスポーツ)」の計4回。
例に由って「小回り~中回り基軸の基礎板」を中心にテストして参りました。

A5
【写真上】3/21(土)、苗場試乗会の様子(JSPさん主催)。
尚、試乗者スペックは以下の通りになります。
  年齢 アラ4(おっさん)
 体格 身長172㎝ 体重59kg
 体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分) 
 技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
 嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
 弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
 滑走日数 毎季約30〜50日
 現行板 DYNASTAR/SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)

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SALOMON/ X-Race (165cm)
 
R13 120.2-70-104 (2014/15より変更無し)
・SALOMON/X-Race (170cm)
 R15 120.2-71-99
 (2014/15より変更無し)

今シーズンでリリース三季目となるサロのフラッグシップモデル「X‐RACE」。
兄弟板のアトミックが年毎新テクノロジーを導入するのに対し、此方は全く不変(とサービスマンの方が仰ってました)。
まぁ微々たる調整はあるにせよ基本的にはトップシートのみの変更。
で、三年続けて同じ様なコメントになる訳です…。

板なりに走らせてみて、真っ先に感じるイメージは「重っ」。
実際170㎝で3700g近くあり、基礎機としては最重量のスキーウエイトです。
しかしそんな質感に反してスキー自体にクセは無く寧ろ素直な操作性、ターン前半から綺麗に弧を描いてくれ切り替えもスムーズ。
スキーの挙動に反した急激なエッジングをしない限りは、レスポンスもマイルドで過剰な返りもありません。
「粘りを備えた重厚さ」と表現したら良いのでしょうか、「重くて」「硬くて」「強い」中にもしなやかさや湿り気を感じる乗り味です。

高速域での安定感に関しては申し分無し。
センターを中心にトップからテール迄を均一にホールドしてくれるエッジグリップは重厚の一言、まるで「根っこ」が伸びている様な雪地吸引力です。
多少のギャップやアイシーなバーンもお構い無し、叩かれたりブレたりとは無縁の世界に存在する板。
スキーヤーの「絶対速度域」を引き上げてくれると云う点では、アトのLXと双璧です。

ミドル~ロング仕様の170㎝は、そんな特性がより顕著に表れます。
ターン前半から滑らか且つ強い捕え、安定感溢れる雪面コンタクト力、そして板の剛性と粘りを利した中~後半加速がこの板の真骨頂。
「キュイン」では無く「ギュュィィーン」と云った推進力、ヘビィ級の板は矢張り大き目のターンサイズで真価を発揮します。
基本的に荷重ポイントはセンター中心にスキー全体、ターンの中後半のみ踵寄りを意識してセンター~テールで加速を生み出すイメージ。
但しショートに関しては「ラディウスなり」の小回り、落差を取らないとツラいです。

ショートターン仕様の165㎝は、如何にも「重厚路線の小回り機」と云った感。
低速時には板の自重を強く感じ、軽快さはありません。
中~高速域になって小回り機的な俊敏さが出て来ますが、ターンの切れ上がり角を除けば、寧ろ大回り機的な乗り味。
忙し目のショートより多少落差や横幅を取ったミドルターンの方が板の性能を引き出し易い、…と云うより家賃の高い乗り手だとそれしか選択肢がありません。
ま、こいつでリズミカルでキレキレのショートを刻むのは、それなりのスキルとパワーが必要と云う事です。
この辺の「大回り機的な小回り機」のニュアンス、難易度の差こそあれHEAD/MAGNUMにちょい似てるかな。

因みにスキー自体に行き過ぎたオートマ感はありませんが、板のウエイトと安定性を利しての滑りが「結果的に板頼り」になってしまいます。
「板主導/人受動」とでも云ったら良いのでしょうか、「オートマ/マニュアル」と云う区分けとは一寸表現が違う様な…。
乗り手が「マグロ状態」になる危険性が大きい事に変わりは無いんですけどね。

あと、今回はコブに入ってみたのですが、コレが意外とイケる。
板の自重と落下速度を上手く利用すれば、コブ腹や溝に落とし込んだり、コブ側面を加圧する操作がスムーズに行えました。(注)但し疲れますけど。

適正ユーザーは体躯のしっかりした上級スキーヤー。
出来れば「テク.クラ」or「競技経験者」レベル、軽量スキーヤーにはチト辛いです。
只、性格自体は素直な板、ヘビーウェイト&ハイスペックな性能に反してマイルドに仕上げられていますので、「重さ」に対するハードル(フィジカル).さえクリア出来れば…とも思えたりもします。
個人的な好みとしてはベクトルが違う板なのですが、何だか欲しくなりました。

以下は雑感レベルでのお話ですが、毎年3~4回乗ってるとテスターがX‐RACEの扱い方に慣れてきて、次第に乗りこなすコツみたいなものを掴んできました。
従い板の難易度に対するコメントは年々ハードルが下がって来てます。
やっぱり板を扱いこなす最適の方法は「乗り続けて慣れる」事なんでしょう、と。

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・SALOMON/ X-MAX (170cm)
 R/14 SC/120-73-103

サロモン来季からのニューラインナップモデル。
大雑把に云うと「24hour-MAX」と「X-kart」を足して2で割って(名前通りそのまんま…)、其処に往時の「XDemoシリーズ」の取り回しの良さを加えたイメージ。
キーワードは「楽チン」「軽い」「何でも出来る」です。

ファーストフィーリングは真っ先に「軽っ」、軽量が故に操作性は抜群です。
しかし意外と雪面コンタクトはしっかりしており、ミドルレンジのスピードならバンピーバーンでも破綻の無い安定感。
このスキーウエイトとしては水準以上の落ち着きです。

小回りでは170㎝/寸胴シェイプを感じさせないキレ味、類を見ないカービングマシンだった「X-kart」の官能的な回旋性と走りを薄味にしつつも、その余韻を残しています。
切り替えからの足元への返りも心地良く、X-kartのドンピシャ感を少し小均した感。
そしてサイドカーブに「合わせた」ミドルでは、「24hours」のナチュラルオートマな快適性も受け継いでいます。
サイドカーブとセンター幅に反してリズム良くショートを刻め、ラディウス相応のミドル~プチロングではノイズの無いスムーズな走り、カービング/スキッドも自在にコントロール可能と、ターンサイズ/キレズレ不問のオールラウンド機です。

そして春軟雪やコブにも強い。
ザク雪ではサロX-Raceやアトミックの様に除雪車的に掻き分けて行く感じでは無く、滑らかにいなして行くフルロッカー的なイメージ。
コブでは軽量アドバンテージと簡易な足元操作、比較的絞りの浅いサイドカーブから「縦」でも「ズラし」でも「バンク」でも何でもござれ。
コレが本当の「24時間板=24hour」じゃ無いの?、と感服する万能性。
久し振りにサロモンマジックを体感しました。

強いて弱点を挙げるなら、難易度の高い斜面ではトップグリップが稀薄になる事。
センター~テールで抑え込む力強さもありませんので、高速域のハードバーンでははやや頼り無く感じます。
あと、軽量キャップ板特有の「乾き系」乗り味なので、「ウェット粘り系」の板が好きな方には折り合い悪いかも。
競合相手が「Volkl/SWとCD」「K2/charger」と云えば方向性が解り易いですかね。

しかし致命傷なのが「絶望的にカッコ悪い」トップシートのコスメ。
X-MAXブーツ(黄×白)とカラーコーデした心算なのかも知れませんが、如何見ても¥49800クラスの量販板にしか見えないのは私だけでしょうか…。
コレ、早急に何とかした方が良いと思います。

以上、こんな所処にて。
ニューモデル試乗インプレ、次回は「フォルクル篇」になります。

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