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2015.04.10

●2015/16ニューモデルスキー.インプレ②

えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
インプレッションその②、「アトミック.後篇」になります

今シーズンの参加試乗会は「3/9.五竜いいもり(アルペン)」「3/14.黒姫(スポーツゼビオ)」「3/21.苗場(JSP)」「4/28.戸隠(タナベスポーツ)」の計4回。
例に由って「小回り~中回り基軸の基礎板」を中心にテストして参りました。

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【写真上】3/9(土)、五竜いいもり試乗会の様子(アルペンさん主催)。
尚、試乗者スペックは以下の通りに成増。
  年齢 アラ4.5(おっさん)
 体格 身長172㎝ 体重59kg
 体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分) 
 技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
 嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
 弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
 滑走日数 毎季約30〜50日
 現行板 DYNASTAR/SPEED GROOVE DEMO R18(2012/13)

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・ATOMIC/BLUESTER DOUBLEDECK 3.0 LX (166cm)
 
R/15-15.9-16.9 SC/113.5-71-99 (2014/15より変更無し)
今季のアトミックのD2シリーズは細部微調整レベルのマイナーチェンジ、詳細に就いてはSXの項を参照にして下さい。

昨季より「大回り機」では無く「中.大回り基軸のオールラウンド機」と位置付けが変わったLX/LC、今季はよりその「コンセプトに沿った」板になりました。
路線変更2シーズン目になり、より方向性にアジャストした感です。

LXは今季は166㎝/172㎝共にテスト、このサイズの基礎板として高速レンジでのミドル~ロングターン安定感は相変わらず抜群。
昨季同様、スキーヤーの「絶対速度域」を一段引き上げてくれます。
足首から下が接雪面に対して「根っこ」の伸びている様な重量感と落ち着き。
乗ってる人間が破綻する事はあっても、スキー自体が挙動不審になる事はゲレンデスキーレベルではまず考えられせん。
多少荒れた程度のバンピーバーンなら「力づくで押え込んで」、春のグサ雪なら「除雪車の如く吹き溜まりを掻き分けて」と、その重厚な推進力と安定性はピカ一。
このアドバンテージは基礎オールラウンド機の中で随一、比肩しうるのはサロのX-RACE位でしょう。
兎に角、良くも悪くも3600gオーバー、「板に頼れる」ってな感じです。

そして昨季モデルに較べ、小回りの融通性が効く様になりました。
あくまでカタログスペック通りのR弧を描くレベルだった昨季モデルに較べ、ショートターンの融通幅が広がり、それなりに「刻める」様になった印象。
この点に就いてはプレートのドロップ差が小さくなった事により、サイドカーブ全体がより使い易くなったからかも知れません。
低速~中速域ではRサイズと板の自重が相俟ってやや鈍重な小回りも、急斜/中速域以上になると切れが増し、板の加速に「乗っかって」縦に落とし込めます。
難易度の高いバーンでは、アト特有の雪地感とズラし易さも大きなアドバンテージ。
ま、流石にSXに較べるとリズムもターン弧も大き目にはなりますが。

欠点は、矢張り使用ユーザーが限られる事。
板のポテンシャルが最大限に発揮されるのが急斜面/高速域なものでして、中速レベルでは板の性能恩恵を然程受けられません。
従い適正技量ですが出来ればプライズレベル。
そして毎年の如く、技術以上に「体力」「筋力」「体重」が重要なファクター。
幾らマイルドな乗り味と云えども基本重厚路線の板、一日中乗り回すにはそれなりのフィジカルが必要です。
それとブーツに関してもSX同様、アトミック靴(アンダーでトルク120)とセット販売として考えた方が良いでしょう。

あと166cm/172cmのチョイスですが、「中.大回り基軸のオールラウンド板」のコンセプトに沿った総合力なら「絶対に166㎝」。
高速安定性は当然172の方が上ですが、上記の通り166でも基礎板最強レベル。
小回りの融通性と取り回しの良さを天秤に掛けると、そんな答えになる訳でして。

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・ATOMIC/BLUESTER DOUBLEDECK 3.0 LC (166cm)
 
R/15-15.9-16.9 SC/113.5-71-99 (2014/15より変更無し)
昨季、LXの次に乗って「見事に印象が消えた」LC。
同じ轍は踏まない様に、今年は順序逆にテストしてみました。
で、観想は…「フツーにフツー以上の中回り機です」。

ゲレンデユーズでのレベルでは欠点特に無し。
このラディウス(15.9)/スキーウェイト(3500g弱)の板としては取り回しも程々。
乗り手が得意とする難易度レンジの斜面では、絶好調のカービングミドルがビシバシ決まります。
バンピーバーンではやや叩かれ気味、ノイズも拾いますがあくまでLXとの比較論。
エッジグリップや雪面コンタクトの安定感は標準以上を軽くクリアしています。

ミドルのターン後半にストレート気味に走らす気持ち良く伸びて反面、思いっ切りロングで攻めてみると遊びが多く「ギュィイーン」とした加速伸びには少し物足らず。
個人的にはミドルターン基軸、その延長線上に+αロングと云ったイメージでした。
因みにコブでは真っ直ぐ行きたがり、バンク系の滑りにはチト辛い鴨。

兎に角LX程乗り手のレベルを選びませんし、体格.体重の縛りもありません。
中回りをメインに考えている「軽量男子」「上級女子」は選択肢の一つとしてイイんぢゃないでしょうか。
但しアトミックの乗り味が好きな方&重厚路線嗜好な方限定。
LXよりは優しいとは云え、扱い易さでだけ云うならもっと使い勝手の良い中回り基軸の板もありますしね。

以上、こんな所処にて。
ニューモデル試乗インプレ、次回は「ヘッド篇」になります。

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