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2016.02.16

●「ワールドカップSL」苗場観戦記.その2

えー、一昨日は湯沢苗場へ滑走&観戦行脚。
FISアルペンワールドカップ、スラローム第8戦を観に行って参りました。

と云う訳での「ホワイトサーカスin苗場」観戦記、続篇になりまする。

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【写真上】9:20、コース上部の観戦エリアに到着。
「少し来るの遅かったかな~」と思いきや、場所取りしてるギャラリーは15人程度。
まぁ凸凹+ブッシュだらけの「女スラ」経由、このアクセスでゲストの大多数は振い落されるんですけどね。

因みにこの場所を選んだのは…、
①スタートからの中斜面パートが全て見渡せる。
②斜面変化から緩斜面の繋ぎ方が近くで見られる。
③中盤入りの折れへの入り方が後ろから見られる。
④ゴール地点はペラッと平べったい絵で迫力無さそう。
⑤少なくともフィニッシュエリアよりは空いてて移動も自由そう。
てな理由からでした。

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【写真上】良さ気な場所を板デポして、木陰にて雨宿り待機。
とかやってると、雨足はみるみるうちにに細くなり…、

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【写真上】9:40、「止みましたっ!!!」
しかも南西の空には、薄らと青空迄覗いて参りました。
早朝からザーザー降り、予報でも日中マークだったのに奇跡的な天候回復。
関係者各位の熱意と御尽力が通じたのでしょう、これは正に「天恵」です。

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【写真上】1番ビヴはフリッツ.ドッファー。(1本目トップ/53:41)
この日のコンディションで、余りにも大きいアドバンテージを得たビヴドロー。
念願の初勝利に籤運も味方に付け、期待を膨らませた一本目でした。

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【写真上】4番ビヴ、ステファノ.グロス(1本目4位/▽0.45 )
グロスらしい素早い切り返しと、小気味良く縦に走らすスピード。
三旗門目からストレートフラッシュ迄、速いですね。

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【写真上】5番ビヴ、ヒルシャーDNF…。
4旗門目でまさかの片ハン、優勝候補の一角が早々に消えてしまいた。
個人的には2本目の「鬼神のフルアタック」が見たかったのにぃ…。

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【写真上】「新.絶対王者」クリストファーセンも思ったより伸びず。
意図的なのかやや後ろ気味、如何にも「雪に合わない」感じの滑り。
しかも6番ビヴで、もうタイムが出難くなっています…。

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【写真上】昨日GSの覇者、パントゥロー。
ビヴドローが全て、選りにも選って「15番」引くとは…。
結局2本目DNF、この日のフランス勢は前日と一転、まとめて不振でした。

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【写真上】ポスト.ヒルシャー筆頭、若手の注目株シュバーツ。
18番ビヴながら、序盤でのスピード感は第1シード後半の選手と明らかに違います。
後半伸ばし切れなかったみたいですが、1秒以内に収めたのは大きい。
ディグルーバー.フェラーと共に、順位を押し上げての二本目進出。

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【写真上】10:15、天気はますます良く(悪く)なって参ります。
第1シード後半辺りから青空が広がり始め、次第に気温も上がって参りました。
こ、これは融雪がヤバい…。

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【写真上】で、兎に角大忙しのコース整備。
テレビには殆んど映らなかったでしょうが、文字通り「一本毎」のデラ作業。
スタート間隔の隙を縫って、そりゃもう秒刻みの慌ただしい仕事振りでした。

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【写真上】ポール交換もしばしば。
ドリル担当/搬送担当/スコップ担当の見事な流れ作業。
この他にも「セメント部隊」「水部隊」「タオル部隊」「ハンマー部隊」、人海戦術による必死のコースメンテが続きました。

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【写真上】スタートも20番台に入ると、もうすっかりと「春スキー」の陽気。
スタート時点で気温8℃でしたから、もう12℃は超えてるでしょう。
選手のスピード感も目に見えて無くなり、「濁点付き」の鈍~いエッジ音が響きます。
そんなシチュエーションと云い、陽射しや気温と云い、何だか昔「草レース」やってる頃を思い出してしまいました。

でも若し、自分がこのコース滑ったら「DNF」か「1分15秒レベル」のどっちかなんでしょうけどね。

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【写真上】35番ビヴ、湯浅直樹。
フィニッシュ時点では27位も、トータル33位で2本目に進めず。
しかしコース上部ではフィニッシュエリアのMCが全く聞こえず、何がどーなってるのかサッパリ解りません。
「湯浅DNQ」の結果を知ったのは、この一時間後の事でした。

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【写真上】湯浅直樹、入り部分の滑り。
同じシャッタースピードのコマ連写ですが、ストレートラインに迄届いてません。
これだけで0.3~0.5はロスしてそうです。

この後は㊵ハウゲン.㊶マット弟の滑りを見て観戦撤収。
残り面子とコースコンディションを考えて、もう突っ込んで来る選手も居無さそうなので、滑走タイムに戻る事と致しました。

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【写真上】2高にて、滑りながらのWC観戦。
写真は㊻石井智也、カットラインから1.47遅れでフィニッシュ。

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【写真上】成田秀将は中盤でコースアウト。
結局第2シード以下から突っ込んで来た選手は「6名」、カットラインは「3.04」。
天候と気温の割りには想像範疇の1本目スタッツ、コースの荒れも思ってたよりは酷くなりませんでした。
因みにシード圏外から二本目進出したのは、ミヒャエル.マット/クリスチャンハウゲン/マルク.ジニetc…。
やっぱり実力者ばかりですね。

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【写真上】12:15、二本目のインスペクションが始まっています。
スタート迄あと45分、もう2本ゴンドラ回してから観戦エリア行こっと。

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【写真上】12:20、インスペクション前(後?)のディグルーバー。
2本目間近にも関わらず、嫌な顔一つせず子供達にサインしていました。
レース中にサインしてたのって見た限りでは彼だけ、凄くイイ人なんですね♡。

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【写真上】同、1ゴンにてシュバーツ。
ヒルシャーが消えた今、オーストリアが最も期待を託す選手。
そんなチームのオーダーに応える大仕事を、2本目で果たす訳です。

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【写真上】ゴキゲンなドッファー。
昨日に引き続き一本目ラップ、しかも難敵の1人は消え、もう1人とも0.79差。
ポカの多いハージン(0.02差)と不振続きのミラー(0.22差)がタイム差的なライバル。
4位グロス(0.45差)、5位フェリックス(0.56差)、6位以下は0.7以上の差で、マージンを生かした戦略が立てられます。
正にこれ以上無い絶好の「勝機」、しかし悲劇は繰り返される訳でして…。

そんな訳で再びスタートゲート下の観戦エリアへ移動。
しかし午前中とは逆に今度は天候下降線。
13時を過ぎ暫くすると、霧の様な小雨が降って参りました。

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【写真上】19番スタート、2本目4位の好走を見せたシュバーツ。
マット(ラップ)/フェラー(2ndラップ)/ディグルーバー(6位)と、何れも2本目好タイムを叩き出したオーストリー勢。
他の選手が悉く罠に落ちた「オープンゲート→中盤の斜面変化→細かいポールセット」セクションを無難にこなし、一時はリーダーズボード1.2.3を独占。
斜面変化への侵入角と速度、攻め所と抑え所を的確に押さえたチームタクティクスの勝利でしょう。

レースはテクニカルなセット+荒れの早いバーンに加え、後半になる程ガスと雨が強くなると云う「典型的な前残り展開」。
「戦略」が嵌り「天候」も味方にし、3位にジャンプアップしました。

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【写真上】22番スタート、クリストファーセン。
注目の「新.絶対王者」も軟雪と荒れにアジャストし切れず。
しかもスタート直前になって「靄」と「雨足」が強くなるハードラックに見舞われます。
2本目は14位、トータルで同僚ソルバーグと同タイムの7位に終わりました。
まぁ今日は「彼の日」じゃ無かった、と云う事でしょう。

しかし今季初めてポディウムを逃したものの、ヒルシャーがノーポイントの為にオーバーオール争いで85点差に肉薄。
無念のスヴィダルに代わり、総合での「打倒ヒルシャー」を果たせるか。

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【写真上】26番スタート、ノイロイター。
獲得目前だった種目別チャンプの座を、3月以降の腰痛悪化で逃した昨季。
そして今季はクリストファーセンの圧倒的強さに押され、「3番手争いの一人」にまで格落ちしてしまったフェリックス。
このまま輝きを失ってしまうのかと危惧されました、が…。
両親所縁の地、苗場で「見事な復活劇」です。

2本目トップ10の選手では唯一の56秒台(5位)を叩き出し、リーダーズボードへ。
そのまま前残りで今季初優勝を遂げました。
まぁ考えてみりゃ「この手」のコンディションはノイロイターの御得意。
自分の滑りを取り戻し、且つ勝運が味方したら何ら不思議の無い優勝でした。

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【写真上】28番スタート、アンドレ.ミラー。
嘗ての種目別チャンプも一昨年のマテリアルチェンジから不振続き。
ソコソコの順位は残すものの、長らくエキストラ扱いに準じてしまってました。
そんな彼にとって待望のポディウム、ヘッドに乗り換えて初の表彰台です(PGS除く)。

緩斜面主体のコース設定が味方したとは云え、特に1本目は全盛期を彷彿させる様な安定した上体、そして懐の深い滑り。
ノイロイターに「0.05秒」及ばなかったものの、復活の切っ掛けとして優勝に比肩する「大きな2位」だったのでは無いでしょうか。

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【写真上】そして、ドッファー…。
矢張りと云うか何と云うか、最早「伝統芸能」の域に達する予定調和。
1本目ラップ(若しくは僅差2位)で2本目に消えるレースを、何回見た事でしょう。
しかもレース内容も全く変わらず、中間計測で万遍無くタイムをロスして最後はマージン使い切って終わり。
1本目とぱ明らかに異なる、股関節の動きが硬い滑りに見えます。

安定感のある外さない滑りが強みの反面、勝負所処での爆発力が無い弱さ。
極論かも知れませんが、ドッファーが表彰台中央に立つパターンは一つ。
「1本目、0.5前後の差で3~6位辺りに付ける」
「2本目、ソコソコ嵌ってトップに立つ」
「あとは上位陣総崩れ(ヒルシャーやヘンリクは大ミスで消える)」
うーん、こんな絵でしか彼の優勝は思い浮かばないのですが…。

「ガンバレ、ドッファー !!!」

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【写真上】14:00、表彰式。
父ちゃんに続いての苗場WC表彰台、終始満面の笑みのフェリックス。
今季は苦戦続きだっただけに、喜びも一入でしょう。

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【写真上】御土産どっさり、シュオーツ。
「へへ、こんなに貰っちゃった、イイでしょ (シュオーツ)」
「でもお前3位、オレ1位だからもっと貰えるんだぜ (フェリックス)」
「俺には何くれるんだろう、久し振りだから解んねぇや (ミラー)」


てな感じの会話ですかね。

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【写真上】BS放送ではカットされていた、〆のシャンパンファイト。
場慣れしたフェリックス.ミラーに対して、この日がポディウム2度目のシュバーツ。
未だ要領を掴めて無いらしく、シャンパン開けるのに手間取っていました。

と、こんな感じの「ワールドカップ観戦記」前後篇。
「雨覚悟で観に行って、ホント良かった~」てのが正直な感想です。
当たり前ですが、私めらのレベルからするとそのテクニックとスピードは別世界。
けど、単なる「いちスキーヤー」として、これ以上無い刺激を受けました。

スキーはやっぱり奥深く、そしてこの上無く楽しいものですね。
おしまい。

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