●2016/17ニューモデルスキー.インプレ①
えー、毎春恒例、来季の「ニューモデルスキー試乗会」リポート。
インプレッションその1、「アトミック篇」になります。
今シーズンの参加試乗会は「3/19.20(車山(アルペン)」「3/27.ハンタマ(パワーズ)」「4/2.丸沼(パワーズ)」「4/6.かぐら(K2)」の計4回。
例に由って「小回り基軸の基礎板or準SL機」を中心にテストして参りました。
尚、試乗者スペックは以下の通りになります。
年齢 アラ4.5(おっさん)
体格 身長172㎝ 体重59kg
体力 中距離ランナー.中の上 (1万m:37分、ハーフマラソン:82分)
技術 SAJ1級 13年前迄は草レースに出没
嗜好 ショート.ミドルターン>ロングターン、スピード好き
弱点 軽量。返りの強過ぎる板、重い板には負け気味
滑走日数 毎季約40〜50日
現行板 BLiZZARD/SRC RACING SUSPENSION(2015/16)
・ATOMIC/BLUESTER DOUBLEDECK 3.0 SX (テストスキー 165㎝)
R/10-11-12 SC/125.5-69-111 (変更無し)
来季のアトミックDemoシリーズ、ブラッシュアップはプレート。
「第三世代・改」となったD2に、レースインターフェイスが搭載されました。
メカニズムを説明してると長くなるので、詳細はアメアさんにでも聞いて下さい。
板自体に変更無く、基本的なフィーリングは昨季モデルを踏襲。
トップはイージーに入ってくれるし、雪面コンタクトの重厚さから角付けも楽チン。
たわみも取り易いので中後半は荷重した分「グイグイ」加速、キレと力強さを伴った伸びと走りを見せてくれます。
スキーウエイトに相反するフレックスの柔らかさ故、ガッツリ板に乗り込むと縦に走らすより横に「伸びる」ターン弧の方が得意。
最近流行りの「減速要素の少ない深回り(笑)」にはもってこいの板です。
乗り手の足前が一定レベル以上(アンダーで1級レベル)なら、ハイエンドモデルとしては「扱い易い」部類と云えるでしょう。
で、昨季モデルとの違いなのですが…。
先ず、プレートの軽量化に伴い「ソコソコ軽くなった」。
14/15モデルが約3600g、15/16モデルが約3520gである事を目安にすると、来季モデルは恐らく3450g切っるでしょう(BIN.プレート込み)。
それは実際のスキーウエイトだけでなく滑走時の操作性もそう、中速域以上ならターンコントロール全域で扱い易くなってます。
と、総じて乗り易くなっている感想。
でもコレって毎年同じ事云ってる様な気もするのですが…。
元々大きいアーチベントと重量路線のスキーウエイト、其処にD2の振動吸収性能メカニズムを加味したバランスがSXのキモ。
一昨年のDOUBLEDECK3.0掲載移行、目に見えて撓ませ易くなった上、来季モデルは新プレの効果からか更にフレックスが柔らかく感じられます。
「あれ、SXてこんなソフトだったっけ」てな感覚。
SXのポテンシャルはそのままに年々「SC的」取り回しの良さ加味されている印象で、乗り手の対象レベルすら広がってる様な気がしました。
初期~D2第二世代頃の、あからさまな「アト的特徴」は年々研磨。
2013/14モデルみたいな圧倒的な重厚感や、2014/15モデルみたいな後半踵寄りの「どっかんターボ」的解り易さは影を潜めて、バランスの取れたマイルドな乗り味に。
「スキーにおんぶされている様」な自縄自縛感や、板の自重を利して雪面を掻き分けて行く様な「オレ様的破壊力」も薄まっています。
とは云っても、基本的にはオートマ系の板。
ターンの後半から切り替えにかけては板の挙動に逆らわない乗り方が得策です。
ターンサイズに関しては、板のスペックを損なう事無く走らせられるのはミドル迄。
しっかり乗れば乗る程トップが内に入りたがるので、大回りに関してはやや攻撃性が失われますが、高速時の挙動落ち着きは小回り板としては破格の安定性です。
クルージングレベルでの操作性も、基礎機らしくコントローラブル。
但し、中低速ゆっくり走らせても全然面白くない板ですけどね。
・ATOMIC/REDSTED MX + X 12TL (テストスキー 165㎝)
R/12.3 SC/124-70-111(※171cm)
来季からのアトミックニューラインナップ。
「レッドスター」で「MX」で「サンドイッチ」で「非D2構造」と、ブランド内での立ち位置がイマイチ曖昧です。
で、アトミックさんの本国HPで調べてみると、レッドスターのレーステクノロジーをベースに、競技的要素をゲレンデパフォーマンス用に凡庸化したポジショニングです。
MXの「X」はGSとSLのパフォーマンスが融合した「クロス」の意。
そして「青スタ」がジャパンモデルなのに対し、「赤スタ」はヨーロッパ中心にワールドワイドでの販売。
けどそのハイエンドモデル、この「MX」は欧州市場カタログ外の「ジャパンモデル」。
でも板のメカニズムは「D2非掲載」の「サンドイッチ構造」と、日本のスキーヤーが好むブルースターのフレームではありません。
うーんヤヤコシイ…。
一応、国内メーカーさんのセールストークだと「小回り/SX」「大回り/LX」の枠組みを取っ払った、コレ1台で何でも出来る上級者用オールラウンドモデルとの事。
来季からの新テクプレート、レースインターフェイスも採用されてます。
と、能書きは此処迄、実際に乗ってみての感想は以下の通り。
解り易い様にSXと比較対象して解説します。
板なりに走らせてみて先ず感じるのは「トップ長っ」。
実際に同サイズのSXと並べてみても、2~3㎝長かった(その分テールは短い)。
トップの掛りは稀薄って程では無いのですが、カチッと素早く噛んでくれる感じもありません。
クルクル勝手に回ってくれる板に乗ってる方は、ターン初動時にしっかりトップの捉えを意識する必要があるでしょう。
スキーウェイトはSXよりちょい軽め、重厚路線と軽快路線の中間に位置する質感。
メタルの板張りはSXに較べドライ、「カチッ」と強めでチタンの素材が異なる感じ。
そして接地面のアーチベント弧もフラット。
従いSXに較べしっかり乗らないとスキーのたわみは引き出し難いですが、実はコレがメリットだったりも致します(後述)。
要するにコイツに乗ってカービング利かせた小回りが難しいと感じる方は、スキーにしっかり荷重出来てないと云う事です。
滑走時の特性としては、R11.7(165㎝)としては意外と縦に走ってくれます。
縦に踏み込むと、ラディウス以上に真っ直ぐ「伸びて」くれるイメージ。
角付け強めてガッツリ乗り込むと、R通りのカービングショート能力を発揮します。
要するに「コレ1台で小回りから大回り迄こなせる」と云うお題目を、浅いアーチベントと硬めのトーションでターンサイズの融通幅を持たせているのです。
実際、小回り機としては縦目のショート~ミドルが心地良かったり致しました。
「私をターンに連れてって」的なブルスタ系のオートマ縛りは無く、能動的な取り回しが可能。
キレーにターン弧を描いてくれる板では無く、SL機デチューンの乗り味です。
ターン初動時からトップの捉えを意識、ビンディングの前辺りからセンターに掛けての雪面圧を感じつつ、中後半にブーツ周辺、仕上げに踵寄り荷重。
テールは舵取り程度の補完的な役割、まぁメタルの硬質感が強いので多少なら乗っかっちゃっても大丈夫。
センターから後ろ側の操作がし易く、ターン前半にテールを振り出し真っ直ぐ走らす「SL的ズラし」がし易かったです。
日本市場での販売カテゴリーは「デモ/オールラウンド」となっていますが、恐らく販促を考慮した上での区分分け。
基礎的にチマチマと細かい事を考えて滑るよりは、板の性格に則ってショート~ミドルでかっ飛ばした方が楽しい板、外人さんが好きそうな乗り味と走りしてますね。
個人的にはSXより好みのスキーでした。
あと、基本的には「整地メイン」の板と考えた方が良いでしょう。