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2016.11.28

●「奥多摩三大急坂」考.前篇

山行勇気が 必要だ

ヘバると誰かが 先に行く

あとから来たのに 追い越され

泣くのがいやなら さあ登れ


「ああ、人生に涙あり(水戸黄門OP曲)」二番.改

そんな訳で本日のテーマは人生にも山にも付きもの、「坂」のオハナシです。

都心から約2時間の好アクセス地に位置し、首都圏在住のハイカー、トレイルランナーから多くの支持を集める「奥多摩」。
一都二県に跨る35000ha超の山林面積を誇り、「雲取山」「奥多摩三山」を筆頭に「御嶽山」「川苔山」「日ノ出山」「高水三山」「浅間嶺」などの人気山が無数に立ち並ぶ広大な山岳エリアです。

山域全体が低~中級山からなり、亜高山帯の雲取山(2017m)が最高峰。
登山路の整備は行き届いており、道標板も数多く設置。
また各所に山村集落が点在するので、一部を除いてエスケープルートも豊富。
と、ハイク入門者でも充分楽しめるレベルの登山路がその殆んどを占めています。

しかし主稜線と渓谷部が交互に東西を縦断する山岳形状から、その谷合より尾根路/山頂に出るルートには幾つかの急坂コースも存在。
中でも屈指の急登パートを有し、その難度を比謳されるのが「奥多摩三大急登」。
尤も「三大急登」に明確な定義は無く、人によって挙げられる候補はまちまち。
名前の出る頻度が高いのは、概ね以下の6~7つになります(五十音順)。

・日原から鷹ノ巣山を結ぶ「稲村岩尾根」。
・小河内ダムから惣岳山(御前山)を結ぶ「大ブナ尾根」。
・安寺沢集落から本仁田山を結ぶ「大休場尾根」。
・八丁橋から天祖山を結ぶ「天祖山表参道」。
・ドラム缶橋登山口から入小沢ノ峰(三頭山)を結ぶ「ヌカザス尾根」。
・唐松橋から小雲取山を結ぶ「野陣尾根(富田新道)」。 
・水根集落からトオノクボ(六ツ石山)を結ぶ「棒ノ木尾根」。
・深山橋登山口からツネ泣峠を経由、ヌカザス尾根に合流する「ムロクボ尾根」。

ま、大体この辺りが「三強」の有力候補。
と云う訳で今回は「奥多摩三大急登」の有力候補コース、及びそれに準ずるコースを列挙コメントしてみたいと思います。

尚、今回の表題を「三大急登」では無く「三大急坂」としたのは、単に下りでしか使った事のないコースもあるから。
それに上りでキツいコースは、下りでも「別の意味でキツい」からでして。

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●稲村岩尾根 (巳ノ戸橋~鷹ノ巣山)
・コーススペック 行程距離/約5.1㎞ 標高差/1130m
・昭文社山地図CT 上り/3時間5分 下り/2時間15分

ハイカーによって多少の候補差異がある「奥多摩三大急登」。
しかし10人中10人が必ず名を挙げるのがこの稲村岩尾根、しかも殆んどがその筆頭扱いです。 
「1100m以上標高を上げる高度差」
「山地図で3時間強を要するCT」
「約5㎞、延々と続く中急勾配の上り」
と、そのスペックは奥多摩三大急登の「ボス」に挙げられるに相応しいもの。

序盤こそ巳ノ戸沢沿いの緩やかなトレイルも、沢を離れ稲村岩のコルへ向かう山腹斜面から急坂の洗礼。
そして稲村岩のコルから、本格的な長~いヒルクライムの始まりです。
多少は勾配の緩む区間もありますが、行程の殆どが中斜面以上の上り構成。
特に急坂のハイライトは2箇所、中盤の杉林の右手を進む直登パートとラストの鷹ノ巣山直下パートです。

只、この稲村岩尾根の山路構成、個人的には嫌いじゃないタイプ。
正直云って、然程キツい感じはしませんでした。
理由としては以下の2点が挙げられます。


①コース全域を通して、良好なトレイルコンディション。
殆どがクッションの利いた赤土ダートで占められており、突き上げの強い露岩帯や足場の悪いガレ場、砂利や小石で横滑りする悪路はありません。
精々、出入りの多い木の根道が目立つ程度です。
そしてもう一つ、大きいのが適度な掘りの山路溝。
防火帯ザレ場の様な極浅路や、逆にエグレの深いU字窪路も見られず、必要以上に疲労の増加する力馬場が存在しません。
ヒルクライムの難度は勾配の緩急だけではなく、他の山路状況に由る所も大。
そう云った意味では良質な山路コンディションが、踏破ハードルをある程度下げてくれてると思います。

②均一な斜度をコンスタントに刻んだ山路構成。
確かに一定レベル以上の中~急斜面上りが支配的ですが、逆を云えば登坂リズムを上下させる斜度変化が少なく、均一なペースで上れます。
そして意外な事に、瞬間最大風速「Max」的な極悪パートが無い。
例えば「ヌカザス尾根のツネ泣」や「前飛龍直下の岩稜帯」の様な、「ウゲゲ」と泣き出したくなる激坂区間が存在しないのです。
ヒルクライムの疲労度を最も増加させる「不規則な登坂リズム」「二足歩行の限度を超えた急斜面」、この2要因を考えなくて良いのも大きな救いです。

まぁこれに関してはあくまで個人的な感想。
「噂通りの極悪ヒルクライム」と感じるか、「意外と与し易い」と感じるかは人其々。
取敢えず一回は登ってみる事をお勧めします。

参考山行ログはコチラ↓。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2016/10/4-3bd5.html

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●大休場尾根 (安寺沢集落~本仁田山)
・コーススペック  行程距離1.9㎞ 標高差700m 

・昭文社山地図CT 上り/1時間40分 下り/50分

上掲「稲村岩尾根」以外は群雄割拠、様々な候補が挙がる「奥多摩三大急登」。
その中でも比較的次位に名前が出るのが、この大休場尾根です。

起点となる奥多摩駅から登山口までは、何てコトない舗装道アクセス。
しかし安寺沢の取っ掛かりから、杉林山腹を左右に振る急坂蛇行路が始まります。
登山口から尾根路に出るまでのアプローチに良く見られる山路取りも、この時点でカナーリの急勾配。
大休場尾根の稜線上に出る以前に、結構体力を消耗します。

で、尾根路に出たら出たで「露岩ゴロゴロ」「木の根ボコボコ」の悪路急坂を直登。
斜度の緩む箇所も殆んど無いヒルクライム、上っても上っても距離が稼げません。
山頂スペック(本仁田山/標高111m)の低山登山路としては、有るまじき極悪ルート。
それにしても、こんな所処に杉林を所有する林業地権者の顔が見てみたい…。

救いは距離が2㎞未満と短いコースである事。
若しこんな急坂が3㎞も4㎞も続いてたら…、うーん想像したく無いですね。

参考山行ログはコチラ↓。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2013/12/post-c6c3.html

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●天祖山表参道 
(八丁橋~天祖山)
・コーススペック  距離/約3.2㎞ 標高差/約1000m
・昭文社山地図CT 上り/2時間45分 下り/1時間50分 

アクセスの悪さは野陣尾根と双璧、「狙って」行かないと使わないコース。
そんな立地も相俟って、長沢背稜からの下山路で利用する方が多いみたいです。

登山口からいきなりの中~急勾配、山腹を九十九に折れつつ上る山路構成。
ロボット雨量計設置所から尾根に乗り大日神社までは一旦斜度が落ち着くも、以降は岩稜帯のヤセ尾根直登パートが連続して現れます。
高度を上げるにつれ、尾根路の露頭石灰岩も大きくなり悪路傾向も進行。
足場の悪さと強烈な突き上げと云う点では、大休場尾根に匹敵します。

「ウゲーッ」てな激坂パートこそ少ないものの、総じて中~急勾配が支配的。
その点では稲村岩尾根同様、バランスの取れた(?)急登コースと云えるでしょう。

あと、途中に幾度か広葉樹林帯の平坦踊り場に出るのが救いなのですが、これはこれで踏み跡が薄くコースを外れる危険有り。
天祖山は座地の悪さから訪れるハイカーも少ないので、路筋の不明瞭な小平地や谷斜面、スイッチバック箇所が多いのです。
特に下りで使う際、「急坂」以上に「路迷い」に気を付けなないといけません。

参考山行ログはコチラ↓。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2014/08/post-337f-1.html

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●棒ノ木尾根 (水根集落~トオノクボ)
・コーススペック  距離1.9
㎞ 標高差660m
(参考/水根集落~六ツ石山 距離3.2㎞
 標高差900)
・昭文社山地図CT 上り/1時間40分 下り/1時間10分
奥多摩湖畔/水根集落から六ツ石山へ向かう登山コースの下半分。
石尾根山行からの下山路で使われる方も多いん
じゃないでしょうか。

水根集落登山口からトオノクボへの登坂距離は1.9㎞。
その中でも核心部はトオノクボ直下、等高線を直登する1㎞弱の区間です。
最大勾配は結構エグく「三大急登」候補に挙がるに相応しいもの、所々で手の補助を必要とする箇所も現れます、
但し極悪パートの距離が短いのが救い、予め1㎞未満の急坂と解っていたら一気に上り切る事が可能です。

寧ろ個人的に嫌だったのは、勾配云々とは別の付加的な要素。
上から下まで「ずーっと」杉林の中を進む単調な山路構成。
見晴らしの利かない植林帯の中を延々と上り続けるロケーションは、疲れるより先に飽きてきちゃいます。
大休場尾根の項でも述べましたが、こんな所処に杉林を所有する林業地権者の顔が見てみたい…。

尤も棒ノ木尾根の上半分(トオノクボ~六ツ石山間)は防火帯の緩勾配路。
急坂パートは尾根下半分の一部、実質0.7㎞と考えれば気は楽かも。

参考山行ログはコチラ↓。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2016/10/post-2918.html

と、こんな感じの「奥多摩三大急坂」考、前篇。
残りの四候補に就いての解説は、後篇に続きます。

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