●2020.グラス新入荷②
えー、昨日に引き続き本日もグラスのお話。
9月後半~10月中は赤坂から武蔵野口に移って初めての「グラス強化月間」。
地元京都のアンティークショップを中心に、幾つかのお店からアンティーク/現行モデル合わせて15客ほど購入して参りました。
と云う訳で2020年グラス新入荷.その2、簡易解説付きでの御紹介です。
【工房不詳】Cock-tail Wineglass(イングランド/1930年頃)
BAR RADIOのCOCKTAILBOOK(表紙&57P)でもお馴染みのラインナップ。
「コクテール」語源の由来(雄鶏の尻尾/cock tail)と云う事もあり、バーテンダーが大好きな鶏モチーフのグラスです。
鶏を題材としたグラスと云えば「Steven Williams」や「Bimini」のバーナーワーク.フィギアグラス、あとアメリカのシルバーオーバーレイなんかが有名。
只、タマ数や価格帯的に入手し易いのは、このイングランドのエナメル彩グラスかな。
今回購入したのは手前の鶏。
奥のオパール&カラーツイストステムは以前札幌で購入した1880年頃のグラス。
エナメル技巧や金彩には大差ありませんが、クリスタルの質が全く違う(音が鈍い)。
恐らくこのタイプのグラスが大量に作られていた1930年代のものかと。
「そんなに高くなく」「買戻しの利く」グラスは混雑時でもビシバシ使えるのでして。
【Thomas Webb】草花文グラヴィールグラス(イングランド/1910年頃)
バカラにサンルイにラリック、んでもってモーゼル、高嶺の花だけとロブマイヤー。
アンティーク入門者がBarwearを購入する際、上記ビッグネームの次に食指が伸びるのがこのトーマス.ウェッブ辺りでしょうか。
元来カメオグラスを中心に製造していただけあってカットやグラヴィールはお手の物。
「ロッククリスタル」と謳われたクリアなクリスタル素地に繊細な草花文様が施されています。
ボウル一面にはカッティングとクラヴィールのお花畑。
深浅自在のカット装飾に浮き上がる様な写実的ウィール。
10数センチの中に奥行きを感じさせる技巧は女子力満開、「チョー可愛くナイ♥」。
インヴァーテイドバラスター形状のステムにも手抜かり無し。
四面にカットされた脚部には細かいラインが均一に刻まれています。
【BACCARAT】Saint-Hubert/サンチュベール(フランス/1935年)
1935年から10年ちょいしか生産されてませんが、オールドバカラの中では知名度が高く人気のある作品。
数有るジョルジュ.シュバリエ、デザインの中でも有名なモデルです。
重厚でキャラ立ちのするステムは「LA TOUR MOUBNOURG」と双璧かな。
実はこの子、赤坂時代に割っちゃっての買戻しです。
大胆に面出しされたボウル部、そしてドッシリと安定感のある二股ステム。
アール・デコの典型とも云うべきモダンで独創性なデザイン。
そして手にした際の重量感は「バカラ」ならではです。
因みにこの子は刻印無し、従い1935年の単一年に製造時期が絞れるのでして。
あとエッジの丸いクープ形状のものが多いアンティークグラス。
シャープ&ソリッドな口当たりのグラスは意外と少数派なのです。
同社のBuckinghamやラリックのBourgueilと並び、辛口カクテルに重宝するフォルム。
今んトコ、ギムレットはノータイムでこの子を使ってます。
と、こんな感じの「2020.AUTUMN」グラス新入荷その2。
その3はロブマイヤー/フリットヘッケルトの予定です。