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2021.02.26

●2%の福音

えー、今更乍らでは御座いますが、私めの生業は洋酒酒場の主。
ウイスキー屋兼コクテール屋で御座います。

で、現在ウチで開封しているWhisk(e)yは約120本。
中には昨日開栓したボトルもありますし、2年前に開栓したボトルもあり。
足の早い子/遅い子、3日で起きる子/半年経っても寝てる子、ピークの長い子/短い子、人気なので開く前に空になる子etc…。
開く時期もバラバラ、色んな子がいるものです。

因みにこの場合の「開く」とは、瓶内熟成する訳じゃありません。
ネックからショルダーに液面が下がり、液体総量に対して空気接面比が増すとナチュラルなデキャンティングが発生。
ウイスキーが空気に触れ。風味香味がFloweringする事です。
香りが華やかになったり、旨味の複雑さが増したり、角が取れて円やかになったり。
その後、多少アルコールが飛んで良い意味で枯れた按配になったりも致します。

例えば開封時が100点とするなら、開封××日後に110点~130点。
その後、酒精の低下と共に香り味わいが劣化。
緩やかに下降カーヴを描き100点アンダーになっていく、てな感じでしょうか。

まぁオープニングショットもラストショットも値段は同じ。
だったら「BEST」なコンディション時に提供したいものですから、ボトルのマネジメントにはそれなりに気を使います。
ウチは席数8の小バコなので開封ボトルの上限を150本に設定。
バックバーをグループ分けし、定期的に試飲しています。
あと開き具合イマイチの子なんかは、一旦バックバーから外して足元に隠したり。

Img_0608
赤坂時代から使っている「秘密の暗号」。
このシールを見れば凡そのコンディションは見当が付く様にしています。

Img_0613
「天使の分け前/Angels' shareならぬ「店主の分け前/Masters' share」
久しく味見してないものは、お客さんへの提供時にテイスティング。
しかし「美味しいお酒」はつい試飲の量が増えてしまいます。
かと云って、テイスティングのし過ぎて酩酊するのも困りモノ。
其処は『店主のわきまえ』が必要になってくるのでして。

因みにグラスはドームナンシーの四季風景シリーズ.ミニチュアール。
1890年~1900年代初頭にかけて多く製作されたラインナップです。
春の牧歌的風景をエナメル彩で描画、多分にジャポニズムの影響も受けています。

全高5㎝/摺切り30mlのサイズなのでテイスティング用に丁度宜しく。
この子も ↓ の際に発掘したグラスなのでした。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2021/02/post-445498.html

尚本日の表題は、ウイスキー熟成中の樽内年間目減り分。
「エンジェルシェア」に因んだものにて。

 

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