●「谷川岳馬蹄形縦走.クラシカル」その①
えー、先週火曜日.9/21は谷川連峰へトレラン行脚。
国内屈指の人気ルート「谷川岳馬蹄形縦走」を走って参りました。
土合駅を起/終点とした場合、山行距離は28㎞程度のミドルディスタンス。
巡る山々も全て2000mに満たない中級高山(最高峰は茂倉岳の1977.9m)です。
しかしこれらのスタッツからは計り知る事の出来ない「Tight&Hard」な行程。
ピークとコルを数知れず繰り返す縦走路は、獲得標高が優に3000m超え。
しかも太平洋/日本海側の分水嶺に位置し、気候変化の予測が難しい山域なのです。
(湯沢町/みなかみ町が晴れてても、山頂付近がガスガスなんてのはザラ)
信州グレーディング「C~D難度レベル」のパートこそ無いものの、1Dayで片付けるにはソレナリに厳しいコースなのでして。
私めの谷川連峰エリア山行はこれが3度目。
初回は平標山から大源太山~三国山を経て三国峠に下りるショートコース。
二度目は西黒尾根から谷川岳~万太郎山~平標山~三国峠への主脈縦走。
馬蹄形縦走はこれが最初のチャレンジになります。
因みに今回辿るコースは勿論「半時計周り⤴」。
何たって「クラシカルルート」と云う響きが良いのでして。
【馬蹄形縦走.クラシカルルート概念図】
土合橋登山口から白毛門へは上り一辺倒で一気に標高を稼ぎ、朝日岳までアップダウンを繰り返し少しづつ高度を上げて行きます。
朝日岳からは獲得標高を一気に吐き出す大下り、最低鞍部の池ノ窪と馬蹄形頂点の清水峠へ。
清水峠からは七ツ小屋山へ上り、緩やかに下って蓬峠、再び上って武能岳。
武能岳から鞍部の笹平を経て、茂倉岳への上り返し。
後は谷川岳トマ/オキを踏んで、西黒尾根の急降を長駆下山。
コアなパートは「登山口~松ノ木沢ノ頭の急登」「ジャンクションピーク~清水峠への激下り」「笹平~茂倉岳への上り返し」「西黒尾根の鬼畜下り」の4区間と予測。
コースタイム目途は8時間30~50分、途中のレストタイムは合計で1時間。
スタート6:45で日没の1時間前には下山を終えるタイムテーブルです。
そんな訳での馬蹄形山走記その①、「土合駅~笠ヶ岳」篇になりまする。
6:40、土合駅とーちゃく。
淡青広がる秋晴れの空、今日は絶好の山曜日♡。
過去二度馬蹄形縦走を試みるも、何れも悪天に祟られ当日キャンセル。
「3年越し」の「3度目の正直」で、やっと山行日和に恵まれました。
駅舎の左奥にはこれより向かう白毛門。
清水街道(国道291号)を右手に取り、登山口へ進みます。
6:45、土合橋駐車場に入ります。(DST/0.67㎞ Time/4:06 )
駐車場の奥が白毛門へのトレイルヘッド。
白毛門登山口「よーし、上るぞー!(気合)」。
駐車場から松ノ木沢ノ頭へは2.3㎞行程で標高差約800m。
同、白毛門へは3.7㎞行程で標高差約1000m。
西黒尾根の上りに較べりゃマシですが、それでも結構なヒルクライムパートです。
ブナ林の上りに取り付きます。
フィンドチッド溢れる柔らかな緑の空気。
樹齢が均等で林相の美しい「ブナの森」です。
段差の大きい根道のヒルクライム。
ゲロ吐く程の鬼激坂は無いものの、稜線に出るまでは緩む事の無い中~急坂続き。
樹間より覗くは本日のラストピーク、谷川双耳。
こー云う風景見ると、俄然スイッチ入りますよね。
しかし馬蹄形縦走の悲しさ、進めば進む程谷川岳は「遠く」なっていくのです。
7:25、標高1150mに達すると稜線に出ました。
この後は一旦勾配が落ち着きます。
蛇紋岩露頭帯の鎖場。
まぁ西黒尾根の上半分に較べりゃカワイイもの。
でもって岩場を上り切ると、左手と背後の展望がいっぺんに開けます♪。
背後南西には玉原高原/黒檜山、赤城に子持。
南東に連なるの天神山~高倉山~湯蔵山~今倉山の稜線。
馬蹄形縦走.序盤のハイライト展望、谷川岳~一ノ倉岳の全容。
岩壁を抉る様なマチガ沢(左)と一ノ倉沢(右)は圧巻の荒々しさ。
共に2000mに満たない標高ですが、北アルプスに負けず劣らずの山岳景観。
3000m級高山を思わせる威圧感を感じさせます。
それにしても棚雲やガスの一片も掛からないクリアな見晴らし。
こりゃ向こう側の「ノゾキ」も期待出来そうですね。
西黒尾根を挟んで、天神山とロープウェイ山頂駅/谷川岳天神平スキー場。
奥には台形山容が特徴的な吾妻耶山が望めます。
7:50、松ノ木沢ノ頭を通過。(DST/3.46 ㎞ Time/1:07:51)
標高1500m付近になると樹林帯は姿を消し、灌木とチシマザサの植生帯に変化。
流石国内屈指の豪雪地帯(しかも風の通り道)、森林限界点に達するのも早い。
正面には次のピークハント、白毛門の雄姿が近くに望めます。
そんな訳で松ノ木沢ノ頭から「ちょこっ」とパノラマタイム。
東に望めるは武尊岳。
左より最高峰の沖武尊~家ノ串山~川場剣ヶ峰~剣ヶ峰~西峰。
右奥彼方には足尾山地.袈裟丸山の山塊群。
振り返って南東方面の眺望。
右手に黒檜山、左に尼ヶ禿山(玉原高原)を従える構図で、最奥に赤城連峰。
松ノ木沢ノ頭を過ぎても岩場は続きます。
露岩越しに見返り望む谷川岳。
白毛門の直下から、松ノ木沢ノ頭と山麓を振り返る。
土合駅は遥か彼方、結構上ってきましたね~。
辿って来た路を振り返りつつの登坂。
背後に見返る谷川岳と一ノ倉岳。
それまで一ノ倉岳の背後に隠れていた茂倉岳も頂を現しました。
何だか谷川岳を「見下ろしてる」感じですが、未だ向こうの方が300m近く「高い」です。
一ノ倉岳/茂倉岳の右手には、馬蹄形縦走路の中盤パート。
七ツ小屋山(右)~蓬峠~武能岳(左)の稜線も望める様になってきました。
8:15、白毛門通過。(DST/4.42㎞ Time/1:31:00)
馬蹄形縦走.半時計周りルート、文字通り序盤パートの「門」番。
こんだけ上っても未だ全行程の1/7、先はマダマダ長いのです。
白毛門からは、それまで隠れていた縦走路北面の展望が開けます。
左が笠ヶ岳、鞍部を経て小烏帽子/大烏帽子/1934P。
うーん、白毛門からも結構な上りだなぁ(しかもップダウンのおまけ付)…。
でも初走破のコースは「不安」より「ウキウキ感」の方が強いのです♪。
約170㎞先の彼方に聳え立つ霊峰。
両神山と奥秩父主脈を前衛に従えて、富士の頂が望めました。
幾重にも重なる稜線と雲海が荘厳な奥行を醸し出す、グレートパノラマ。
いゃあ、今日はホントに絶好の「山行日和&山景日和♥」だ事。
白毛門から笠ヶ岳へ向かう稜線トレイル。
一旦軽く下っての上り返し、この辺は快適なトレランパートです。
笠ヶ岳直下へのササ道.急登パート。
このパターン、茂倉岳まで何度も繰り返されます。
それにしてもコルから見上げる山容は見事な迄の三角錐状。
「笠ヶ岳」の名にし負う山姿です。
ササ道を蛇行しつつの登坂。
稜線は見えてるのに、中々距離が詰らない…。
そんなタイトな上りでは、適度に振り返るのが楽しむコツ。
先ほど踏んだ白毛門も大分遠くになりました。
彼方には水上/沼田の市境山々や玉原高原、赤城山が一望の下に望めます。
8:40、笠ヶ岳通過。(DST/5.95㎞ Time/1:59:41)
白毛門から少しラン入れて28分で到着。
「土合駅→笠ヶ岳」のパートをを2時間切って処理出来たのは想定以上。
これで予定のCT+20分の貯金が出来ました。
と、こんな感じの谷川岳馬蹄形縦走.露払いの部。
笠ヶ岳からは朝日岳/ジャンクションピークを経て清水峠に向かいました。
つづく。