えー、本日は一昨日ログ(↓)の続きにて。
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2月8日のお店再開に合わせ、新しく古い(ヤヤコシイ)グラスを数客入荷しました。
まぁ新入荷つっても、その実は「Old arrival」。
12年前に梱包したグラスを段ボール1ケ分、出し忘れてただけなのでして。
と云う訳で2009年の冬以来、久方振りに「日の目」を見た子たち。
文字通り「掘り出し物」の御紹介で御座います。
エナメル彩.コクテールグラス(1920~30年代.イングランド)
デコ期のイングランドで多く作られた「鶏モチーフ」のエナメル彩クリスタル。
しかしその殆どはロングステムのマティーニグラス形状、肉厚重厚なボディにカットを施したのものは珍しいです。
鉛含有率の高いクリスタル素地にボリューム感たっぷりなフォルム。
フットからトップに掛けてのカッティングも秀逸、ラディアルな十二面体が美しい。
直線的な形状に相反してリムの口当たりは柔らかです。
同時代にイングランドで作られたコクテールグラスは「ガラスの質や造形」「エナメル彩の巧拙」等、モノによってクオリティの乖離が大き過ぎるのが難点。
アンティークとは云っても粗製乱造的な作品も多く、そんな観点からも逸品のグラス。
因みに購入は15年くらい前、勿論「新門前花見小路」のあそこです。
A~面で恋をして♪ B~面で煌いて♬ (ナイアガラトライアングル)
そしてこのコクテール君は「両A面♥」。
エナメル彩はグラスの外面から施されていますが、内面から見ても見事な彩画。
つーか、寧ろ内縁側から見た方が表画/彩色共美しいです。
この点に関しては、極上コンデションの美品とは云え100年前のグラス。
ペインティングの保全状況は当然内側の方が良い、と云うのもありますけどね。
サイズ的にカクテルユーズとしても使えますが、男性的な感じのするグラス。
注ぎモノの方が「しっくり」くるので、専らニート中心で使ってます。
【Baccarat】Elisabeth.green/エリザベートグリーン(1930年代後半.フランス)
【Saint Louis】唐草文様エッジング.リキュールグラス(20世紀前半.フランス)
奥のサンルイは同社の典型的な唐草文デザイン、サイン無しなので1936年以前。
写真で見るよりも小振りなサイズ、使途はリキュール専or試飲用。
手前のバカラ/エリザベートはハプスブルク由来のネーミングにエーデルワイス。
女子的ファンシーなお花畑デザインはファンの多いラインナップです。
本来の用途は白ワイン用も、濃赤や乳白のカクテルもアシッドの花々が映えて宜し。
因みにアンティーク市場ではタマ数(流通量)の多い両グラス。
逆に云うと割っちゃっても買戻しが利くので、出し惜しみする事無く使えます。
【Normann Copenhagen】Cognac glass (現代.デンマーク)
ああ、そー云えばこんなのも使ってましたっけ。
クスっと笑える面白味とキャラ立ちする個性的なデザイン。
しかも安価な現行品、バーテンダーとしては重宝するアイテムです。
ノーマンコペンハーゲン社はデンマークのインテリアブランド。
1999年創業の新しいメーカーですが、今やイッタラ/ボダム等と並ぶスカンジナビア.ファンクションの雄となっています。
テーブルウェアやスティショナリーに加え、2009年からは家具/照明分野にも進出。
北欧モダン独特のシンプル&スタイリッシュで機能美を併せ持つコレクションを展開しています。
グラスウェアだとコロコロ君(ロッキンググラス)が有名かな。
【René Lalique】Marienthal.amber/マリエンタール (1927年.フランス)
オパルセントのプレート/ボウルの方が著名な「マリエンタール」のグラスウェア。
クリア/ダークグリーン、このアンバーの3ラインナップが作られていました。
デコ最盛期の製作も、ナンシー様式を思わせる葡萄モチーフの立体的レリーフ。
脚部の装飾「だけ」が注目されがちですが、その重厚さに反してシンプル且つ軽快な曲線を描くスィンボディ。
「肉厚なフット」と「薄手のボウル」の対比(高比)が絶妙のバランスです。
Bourgogne stemはプレス成型。
ラリックお得意のフロスト加工の後、部分的に研磨を施して艶と光沢を表出。
実を結んだ葡萄の装飾模様が、より立体的に表現されています。
脚底部には「R.LALIQUE」と「 France」、陰陽異なるサイン有り。
ラインナップの中ではクープ形状で大型のサイズ(5128)、本来は赤ワイン用。
ウチではブランデーやもダークラムを飲るのに使ってます。
【LOBMEYR】India/インディオ (2000年代初頭.オーストリア)
2000年代初めに限定販売されていたロブマイヤーのエナメル彩タンブラー。
1898年にグスタフ.シュモランツのデザインしたグラスウェアをリプロダクト、ピーター.ラートがデザインしたモデルです。
南青山のロブマイヤーサロンで「漣」と一緒に購入しました。
カーミンレッドを基調とした花のモチーフをエナメル彩で手描き。
ボウルには一面のお花畑、リムとボトムには直線を多く用いた幾何学文様。
まるで「ウチとこはエンヴレーディングだけじゃ無いよ」と言ってるみたい。
きめ細かなエナメル彩もロブマイヤーのお家芸です。
因みにこのピーターラート復刻/フラワーシリーズは「India(1種)」「China(3種)」「Persian(1種)」、計5つのラインナップで構成。
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全種類コンプリートまであと2客です(笑)。
【LOBMEYR】Schönbrunn/シェーンブルン(1930年代頃か.ボヘミア)
続いても一つロブマイヤー、今度は少し古いシェーンブルン。
「ベルヴェレデーレ」「チロル」等と並ぶ、シュテファン.ラートの代表作にて不朽の名作。
1905年の作品発表から1世紀以上、今でも作り続けられているラインナップです。
因みにシェーンブルンは俗称、正式名称はドリンキングセットN0.231 「Barock」。
コパーウィール.エングレーヴィングで施された草花文様装飾は、「華麗」「繊細」「高貴」と云った表現がぴったり。
スラリとした逆三角形のフォルムも、モスリンの儚さと相乗効果で美しさ倍増です。
製作時期は他資料から1930年代と推察、但し多少前後するかも知れません。
本来は白ワイン用ですがカクテルユーズにもベストの容量、使い勝手の良さは抜群。
個人的にはスピリッツペースのドライなカクテルが似合うかな、と。
うっとり見惚れてしまう職人芸。
バロック様式の繊細なエンウレーィングはロブマイヤーの真骨頂。
花弁や蔓、そして葉毛に至るまで微細な陰影をつけ立体的に表現されいてます。
コレに較べると現行のロブマイヤーは「平べったく」感じてしまう…。
尚、現在のロブマイヤー工房でシェーンブルンを手掛ける職人は5人居ないとか。
と、こんな感じの新(?)入荷グラス.御紹介。
出し惜しみする事無く「ビシバシ」使ってます。