BAR TRIPLE-SEC/グラス紹介

2021.02.26

●2%の福音

えー、今更乍らでは御座いますが、私めの生業は洋酒酒場の主。
ウイスキー屋兼コクテール屋で御座います。

で、現在ウチで開封しているWhisk(e)yは約120本。
中には昨日開栓したボトルもありますし、2年前に開栓したボトルもあり。
足の早い子/遅い子、3日で起きる子/半年経っても寝てる子、ピークの長い子/短い子、人気なので開く前に空になる子etc…。
開く時期もバラバラ、色んな子がいるものです。

因みにこの場合の「開く」とは、瓶内熟成する訳じゃありません。
ネックからショルダーに液面が下がり、液体総量に対して空気接面比が増すとナチュラルなデキャンティングが発生。
ウイスキーが空気に触れ。風味香味がFloweringする事です。
香りが華やかになったり、旨味の複雑さが増したり、角が取れて円やかになったり。
その後、多少アルコールが飛んで良い意味で枯れた按配になったりも致します。

例えば開封時が100点とするなら、開封××日後に110点~130点。
その後、酒精の低下と共に香り味わいが劣化。
緩やかに下降カーヴを描き100点アンダーになっていく、てな感じでしょうか。

まぁオープニングショットもラストショットも値段は同じ。
だったら「BEST」なコンディション時に提供したいものですから、ボトルのマネジメントにはそれなりに気を使います。
ウチは席数8の小バコなので開封ボトルの上限を150本に設定。
バックバーをグループ分けし、定期的に試飲しています。
あと開き具合イマイチの子なんかは、一旦バックバーから外して足元に隠したり。

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赤坂時代から使っている「秘密の暗号」。
このシールを見れば凡そのコンディションは見当が付く様にしています。

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「天使の分け前/Angels' shareならぬ「店主の分け前/Masters' share」
久しく味見してないものは、お客さんへの提供時にテイスティング。
しかし「美味しいお酒」はつい試飲の量が増えてしまいます。
かと云って、テイスティングのし過ぎて酩酊するのも困りモノ。
其処は『店主のわきまえ』が必要になってくるのでして。

因みにグラスはドームナンシーの四季風景シリーズ.ミニチュアール。
1890年~1900年代初頭にかけて多く製作されたラインナップです。
春の牧歌的風景をエナメル彩で描画、多分にジャポニズムの影響も受けています。

全高5㎝/摺切り30mlのサイズなのでテイスティング用に丁度宜しく。
この子も ↓ の際に発掘したグラスなのでした。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2021/02/post-445498.html

尚本日の表題は、ウイスキー熟成中の樽内年間目減り分。
「エンジェルシェア」に因んだものにて。

 

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2021.02.11

●2021.WINTER「グラス新入荷」

えー、本日は一昨日ログ(↓)の続きにて。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2021/02/post-445498.html

2月8日のお店再開に合わせ、新しく古い(ヤヤコシイ)グラスを数客入荷しました。
まぁ新入荷つっても、その実は「Old arrival」。
12年前に梱包したグラスを段ボール1ケ分、出し忘れてただけなのでして。

と云う訳で2009年の冬以来、久方振りに「日の目」を見た子たち。
文字通り「掘り出し物」の御紹介で御座います。

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エナメル彩.コクテールグラス(1920~30年代.イングランド)
デコ期のイングランドで多く作られた「鶏モチーフ」のエナメル彩クリスタル。
しかしその殆どはロングステムのマティーニグラス形状、肉厚重厚なボディにカットを施したのものは珍しいです。

鉛含有率の高いクリスタル素地にボリューム感たっぷりなフォルム。
フットからトップに掛けてのカッティングも秀逸、ラディアルな十二面体が美しい。
直線的な形状に相反してリムの口当たりは柔らかです。

同時代にイングランドで作られたコクテールグラスは「ガラスの質や造形」「エナメル彩の巧拙」等、モノによってクオリティの乖離が大き過ぎるのが難点。
アンティークとは云っても粗製乱造的な作品も多く、そんな観点からも逸品のグラス。
因みに購入は15年くらい前、勿論「新門前花見小路」のあそこです。

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A~面で恋をして♪  B~面で煌いて♬ (ナイアガラトライアングル)
そしてこのコクテール君は「両A面♥」。
エナメル彩はグラスの外面から施されていますが、内面から見ても見事な彩画。
つーか、寧ろ内縁側から見た方が表画/彩色共美しいです。
この点に関しては、極上コンデションの美品とは云え100年前のグラス。
ペインティングの保全状況は当然内側の方が良い、と云うのもありますけどね。

サイズ的にカクテルユーズとしても使えますが、男性的な感じのするグラス。
注ぎモノの方が「しっくり」くるので、専らニート中心で使ってます。

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【Baccarat】Elisabeth.green/エリザベートグリーン(1930年代後半.フランス)
Saint Louis】唐草文様エッジング.リキュールグラス(20世紀前半.フランス)
奥のサンルイは同社の典型的な唐草文デザイン、サイン無しなので1936年以前。
写真で見るよりも小振りなサイズ、使途はリキュール専or試飲用。

手前のバカラ/エリザベートはハプスブルク由来のネーミングにエーデルワイス。
女子的ファンシーなお花畑デザインはファンの多いラインナップです。
本来の用途は白ワイン用も、濃赤や乳白のカクテルもアシッドの花々が映えて宜し。

因みにアンティーク市場ではタマ数(流通量)の多い両グラス。
逆に云うと割っちゃっても買戻しが利くので、出し惜しみする事無く使えます。

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【Normann Copenhagen】Cognac glass (現代.デンマーク)
ああ、そー云えばこんなのも使ってましたっけ。
クスっと笑える面白味とキャラ立ちする個性的なデザイン。
しかも安価な現行品、バーテンダーとしては重宝するアイテムです。

ノーマンコペンハーゲン社はデンマークのインテリアブランド。
1999年創業の新しいメーカーですが、今やイッタラ/ボダム等と並ぶスカンジナビア.ファンクションの雄となっています。
テーブルウェアやスティショナリーに加え、2009年からは家具/照明分野にも進出。
北欧モダン独特のシンプル&スタイリッシュで機能美を併せ持つコレクションを展開しています。
グラスウェアだとコロコロ君(ロッキンググラス)が有名かな。

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【René Lalique】Marienthal.amber/マリエンタール (1927年.フランス)
オパルセントのプレート/ボウルの方が著名な「マリエンタール」のグラスウェア。
クリア/ダークグリーン、このアンバーの3ラインナップが作られていました。

デコ最盛期の製作も、ナンシー様式を思わせる葡萄モチーフの立体的レリーフ。
脚部の装飾「だけ」が注目されがちですが、その重厚さに反してシンプル且つ軽快な曲線を描くスィンボディ。
「肉厚なフット」と「薄手のボウル」の対比(高比)が絶妙のバランスです。

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Bourgogne stemはプレス成型。
ラリックお得意のフロスト加工の後、部分的に研磨を施して艶と光沢を表出。
実を結んだ葡萄の装飾模様が、より立体的に表現されています。
脚底部には「R.LALIQUE」と「 France」、陰陽異なるサイン有り。

ラインナップの中ではクープ形状で大型のサイズ(5128)、本来は赤ワイン用。
ウチではブランデーやもダークラムを飲るのに使ってます。

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【LOBMEYR】India/インディオ (2000年代初頭.オーストリア)
2000年代初めに限定販売されていたロブマイヤーのエナメル彩タンブラー。
1898年にグスタフ.シュモランツのデザインしたグラスウェアをリプロダクト、ピーター.ラートがデザインしたモデルです。
南青山のロブマイヤーサロンで「漣」と一緒に購入しました。

カーミンレッドを基調とした花のモチーフをエナメル彩で手描き。
ボウルには一面のお花畑、リムとボトムには直線を多く用いた幾何学文様。
まるで「ウチとこはエンヴレーディングだけじゃ無いよ」と言ってるみたい。
きめ細かなエナメル彩もロブマイヤーのお家芸です。

因みにこのピーターラート復刻/フラワーシリーズは「India(1種)」「China(3種)」「Persian(1種)」、計5つのラインナップで構成。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2020/11/post-e78a1a.html
全種類コンプリートまであと2客です(笑)。

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LOBMEYRSchönbrunn/シェーンブルン(1930年代頃か.ボヘミア)
続いても一つロブマイヤー、今度は少し古いシェーンブルン。
「ベルヴェレデーレ」「チロル」等と並ぶ、シュテファン.ラートの代表作にて不朽の名作。
1905年の作品発表から1世紀以上、今でも作り続けられているラインナップです。
因みにシェーンブルンは俗称、正式名称はドリンキングセットN0.231 「Barock」。

コパーウィール.エングレーヴィングで施された草花文様装飾は、「華麗」「繊細」「高貴」と云った表現がぴったり。
スラリとした逆三角形のフォルムも、モスリンの儚さと相乗効果で美しさ倍増です。
製作時期は他資料から1930年代と推察、但し多少前後するかも知れません。

本来は白ワイン用ですがカクテルユーズにもベストの容量、使い勝手の良さは抜群。
個人的にはスピリッツペースのドライなカクテルが似合うかな、と。

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うっとり見惚れてしまう職人芸。
バロック様式の繊細なエンウレーィングはロブマイヤーの真骨頂。
花弁や蔓、そして葉毛に至るまで微細な陰影をつけ立体的に表現されいてます。
コレに較べると現行のロブマイヤーは「平べったく」感じてしまう…。
尚、現在のロブマイヤー工房でシェーンブルンを手掛ける職人は5人居ないとか。

と、こんな感じの新(?)入荷グラス.御紹介。
出し惜しみする事無く「ビシバシ」使ってます。

 

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2020.11.05

●2020.グラス新入荷④

えー、「2020年.秋」グラス新入荷シリーズ.その4にて最終篇。
9月後半~10月中は赤坂から武蔵野口に移って初めての「グラス強化月間」。
地元京都のアンティークショップを中心に、幾つかのお店からアンティーク/現行モデル合わせて15客ほど購入して参りました。

と云う訳で、簡易解説付きでのニューアイテム御紹介です。

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今回は現行のオールドファッションも数客入荷しました。
「ぱっ」と見、何て事無いロックグラスですが…。

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「ティファニーで朝食を」。

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続いて「ジパンシィ」。

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続いて「ブルガリ」。
うーん、何て「お馬鹿」で「Bubbly!」なラインナップなのでしょう。

まぁバックヤードにアンティークグラスばかり並べるのも考えモノ。
何だか高圧的でヤらしい感じになってしまいます。
そんな訳でこー云う「小ネタ的」お笑いグラスも何客か入手したのでした。

因みに今回のグラスセレクト、テーマは勿論「オードリー.ヘップバーン」です。

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因みにブルガリはテレジアンタール♪。
バーテンダーが大好きな「ダブルネーム」です。

以上、メルカリで購入したグラス三客でしたとさ。

 

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2020.11.04

●2020.グラス新入荷③

えー、本日は「2020年.秋」グラス新入荷シリーズ.その3。
9月後半~10月中は赤坂から武蔵野口に移って初めての「グラス強化月間」。
地元京都のアンティークショップを中心に、幾つかのお店からアンティーク/現行モデル合わせて15客ほど購入して参りました。

と云う訳で、ニューアイテムの幾つかを簡易解説付きで御紹介です。

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【Fritz Heckert】草花文エナメル彩グラス(ドイツ/1910~30年頃)
云わずと知れたボヘミアのエナメラー、フリッツ.ヘッケルト。
蒐集家の中でも特に人気の高い作家ですが、工房立地や時代背景が原因で資料が少ないのが困りモノ。
15年位前に札幌の虎徹さんから資料を頂き、まとめたものを以前upしましたが、今回は改めて加筆補正したものを登載しました↓。
尚、フリッツ.ヘッカート/フリッツ.ヘッカーなんて表記をされる事もあります。

Fritz Heckert/フリッツ.ヘッケルト(1837~1887)
創業は1866年、ドイツ(プロシア)/ポーランド.チェコ(ボヘミア)/オーストリア.ハンガリー(ハプスブルグ王朝)の国境地域、シレジア地方ペータースドルフに工房を構えます。
この地域は13世紀頃から伝統的なヴァルトガラスの生産地域でしたが、時々の勢力によって統治国家が二転三転。
その所為もあり詳しい資料の少ないガラス工房となっています。
創業当時は 17~18世紀の様式を模したオールドジャーマンデザイン(ヴァルトガラスやレーマー杯)を多く制作していました。
1885年にはガラス工房を拡張
その後アーツ&クラフト運動の影響を受けカール.ケッピングやツヴィーゼルと共に保守的なドイツガラス産業界をリードしていきます。


ヘッケルトは1887年に他界しますが、工房は家族に受け継がれ興隆期を迎えます。
1900年代にはマックス.レイド/ルードリッヒ.ジュッタリーン/ウィリー.マイツェンなどのデザイナーを招聘、またアドルフ.スコープらベルリン美術学校の教授陣などが工房と提携/継承したとされています。
アールヌーヴォー期にはカメオガラスに草花文のグラヴィール装飾といったユーゲントシュティール様式を得意とし、フラワーベースなどを多く制作。
1900年のパリ万博で金賞を受賞、
1902年にはトリノでの第1回国際現代装飾美術展で銀賞を受賞するなど高い評価を得ます。

その後1911年に「Fritz Feckert-Petersdorfer Glashütte KG」と社名を変更。
1923年に同じシレジアのJosephinenhutte(ヨゼフィーネンヒュッテ)、ノイマン&スティヴ(Neumann & Staebe)と共同会社となり、1925年には「Josephinenhutte A.G」として吸収合併されます。
アールデコ期に入ってもドイツのガラス業界に影響を与えたとされていますが、現在のアンティーク市場でアールデコ期以降の作品は殆ど見られません。
推測の域ですがその装飾技法からデコ期の工業的.機能的.実用的な1925年様式に迎合出来ず時代な遅れなスタイルとなり、ヨゼフィーネンヒュッテの作品を制作していたと思われます。

1945年までは製造を続けていた事が確認出来ますが、戦後シレジアはドイツからポーランドに移領。
その後工房は閉鎖され
現存はしていません。

このモデルは1925年頃の「ヨゼフィーネンヒュッテA.G」カタログに全く同じものが掲載。
但し同社のテーブルウェアはクリスタル素地にカットを施した様式のものが多く、技巧からしてこのグラスはヘッケルト工房で作られたものと見て間違いありません。
従い制作年代は会社の吸収合併期の前後かと。

あと隣のリキュールグラスは前から持ってるモノ、折角なので記念撮影代わりに撮っときました。

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如何にも「フリッツ.ヘッケルト」と云った感のカラフルなエナメル彩。
ヘッケルトはキプロスデザイン (エジプト/ペルシャ様式)を好んで用い、ゴールドギルドやにエナメル彩の手法を得意としていました。
特に19c後半の作品はエナメルの盛りが半端無く厚く、最早「三次元」の域。
あと草花文はもう少し写実的なものが多かったです。
(何客か使ってましたけど全て割っちゃいました…)
また、当時大流行したジャポニズムの影響を殆ど受けていないと云う点でも珍しい工房です。

このグラスもペルシャ絨毯やステンドガラスを彷彿とさせるアラベスクデザイン。
カッティングの後にエナメル彩とギルトを入れ、何種類もの草花文が多彩/複雑な色調でハンドペイントされています。

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【LOBMEYR】モノグラムエナメル彩(オーストリア/19c後半~20c前半)
シンプルながらも金彩+エナメル彩+ラスター彩のトリプルコンポ。
手の込んだウィールものは価格がぶっ飛んでますが、この辺のロブマイヤーなら手が出せます。

このモデルはハプスブルク帝国末期のテーブルウェアとして作成されたものですが、色々なサイズが存在し年代も絞り難い。
ただヨーゼフ1世の皇妃エリーザベトが晩食会用に用いたグラスセット資料に近似したものがありますので、古くて彼女がホーフブルグに入宮した1860年代から療養でウィーンを離れる1880年代の間。
若しくは時代を下って、それからハプスブルク帝国が崩壊する1918年までの間。
うーむ、年代幅が広過ぎる…。

19世紀のロブマイヤーとしては形状と装飾がシンプル過ぎるので、まぁ20c前半と云った所処でしょうか。

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光の屈折率マジック。
グラス全体にラスター彩(金属の粉末を吹き付けて焼き付ける)が施されており、光の角度や強弱でカリクリスタルの色調が変化。
澄んだ青色を基調に、真珠や玉虫の羽を思わせる神秘的な輝きを醸し出します。

エナメル彩は「a.e.i.o.u.」を簡易化した様な紋章に「A(オーストリアの頭文字でしょうか)」のモノグラム。
繊細なタッチのイニシャルをエナメル彩で厚く盛り上げています。
そー云えばバカラがハプスブルク家に制作したグラスセットにも同様の紋章を施したものがありました(それも大分前に割っちゃいましたけどね…)。

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【LOBMEYR】
Persian/ペルシャ No.1&No.2(オーストリア/現代)

2000年代初頭に販売されていた、ロブマイヤーのエナメル彩タンブラー。
1898年にグスタフ.シュモランツのデザインしたグラスウェアをリプロダクト、ピーター.ラートがデザインしたモデルです。
他に「China」「India」と云ったラインナップ(下図参照)があり、インディオは赤坂時代に使っていました。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2008/08/post_7841.html
しかし悲しいかな破損でサヨウナラ、そんな訳である意味「買戻し」的な購入です。

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カタログより借載。

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エナメル彩が投影する陰絵も美しい。
カラフルで繊細な花のモチーフをエナメル彩で手描き、そして24金のギルド。
ラインナップ名の「ペルシャ」に加え、そこはかとなく東洋的オリエンタリズムの雰囲気も致します。
サイズは小振りなOF、ゴージャスなウイスキーをニートで飲るのに良い鴨。

あと全くの余談ですが、実はコレ「ヤフオク」で購入したもの。
出展者の専門が和骨董でグラスウェアの眼識が無かったらしく『西洋工芸ガラス ハンドペイント 金彩 草花図グラス(グラスの底にサインのようなマークがあります)』とのタイトルで出展されていました。
勿論「ロブマイヤー」の検索では全く引っ掛かりません。
お陰で入札は殆ど無風状態、二客セットを定価の1/4の激安価格で落札出来ました。
でも1.2を手に入れると…、やっぱり3も購入して「コンプリート」したくなりますね。

と、こんな感じの「2020.AUTUMN」グラス新入荷その3。
その4は「ちょっとお馬鹿な」現行品のオールドファッショングラスです。
 

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2020.11.03

●生き残り

えー、本日は「2020年.秋」グラス新入荷シリーズの番外篇ログ。

フリットヘッケルトの工房解説でベルリン美術学校の資料を漁っていた際の古都。
すんごく懐かしいグラスの画像を見付けたので、思わず項立てしてしまいました。

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LOBMEYR 】フロステッドタンブラー(1979年)
「花/波/木/鳥/四角/馬」モチーフの6客セット、デザインはピーター.ラート/デコレーションはモニカ.フルッドによるものです。
15年ほど前のアンティークフェアで全客揃っているのを発見して即買い。
赤坂時代にチェイサー用として使っていました。

「ロブマイヤー」+「フロステッド」+「黒エナメル彩」と云って真っ先に思いつくのは、ヨーゼフ.ホフマンの「ブロンジット」シリーズに代表される1910年代のマットエッジング.ラインナップ。
ヨーロッパで伝統的に受け継がれてきた文様にアールデコ様式やジャポニズムのエッセンスを取り入れ、「新ウィーン様式」と呼ばれたデザインです。
このタンブラーセットは上記時代のシリーズをリスペクト/リプロダクトしたものと思われます。

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そんな訳でウチで唯一の生き残り「Squares」。
タンブラーやオールドファッション以上に使用頻度の多いのがチェイサーグラス。
沢山使う=沢山割っちゃって、あとの5客は鬼籍に入ってます。

因みにこのタンブラーセット、NYのコーニングガラス美術館にも収蔵されているとの事。
あーぁ、もっと大切に扱っときゃ良かったなぁ…。

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2020.11.02

●2020.グラス新入荷②

えー、昨日に引き続き本日もグラスのお話。
9月後半~10月中は赤坂から武蔵野口に移って初めての「グラス強化月間」。
地元京都のアンティークショップを中心に、幾つかのお店からアンティーク/現行モデル合わせて15客ほど購入して参りました。

と云う訳で2020年グラス新入荷.その2、簡易解説付きでの御紹介です。

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【工房不詳】Cock-tail Wineglass(イングランド/1930年頃)
BAR RADIOのCOCKTAILBOOK(表紙&57P)でもお馴染みのラインナップ。
「コクテール」語源の由来(雄鶏の尻尾/cock tail)と云う事もあり、バーテンダーが大好きな鶏モチーフのグラスです。

鶏を題材としたグラスと云えば「Steven Williams」や「Bimini」のバーナーワーク.フィギアグラス、あとアメリカのシルバーオーバーレイなんかが有名。
只、タマ数や価格帯的に入手し易いのは、このイングランドのエナメル彩グラスかな。

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今回購入したのは手前の鶏。
奥のオパール&カラーツイストステムは以前札幌で購入した1880年頃のグラス。
エナメル技巧や金彩には大差ありませんが、クリスタルの質が全く違う(音が鈍い)。
恐らくこのタイプのグラスが大量に作られていた1930年代のものかと。

「そんなに高くなく」「買戻しの利く」グラスは混雑時でもビシバシ使えるのでして。

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【Thomas Webb】草花文グラヴィールグラス(イングランド/1910年頃)
バカラにサンルイに
ラリック、んでもってモーゼル、高嶺の花だけとロブマイヤー。
アンティーク入門者が
Barwearを購入する際、上記ビッグネームの次に食指が伸びるのがこのトーマス.ウェッブ辺りでしょうか。

元来カメオグラスを中心に製造していただけあってカットやグラヴィールはお手の物。
「ロッククリスタル」と謳われたクリアなクリスタル素地に繊細な草花文様が施されています。

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ボウル一面にはカッティングとクラヴィールのお花畑。
深浅自在のカット装飾に浮き上がる様な写実的ウィール。
10数センチの中に奥行きを感じさせる技巧は女子力満開、「チョー可愛くナイ♥」。

インヴァーテイドバラスター形状のステムにも手抜かり無し。
四面にカットされた脚部には細かいラインが均一に刻まれています。

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【BACCARAT】Saint-Hubert/サンチュベール(フランス/1935年)
1935年から10年ちょいしか生産されてませんが、オールドバカラの中では知名度が高く人気のある作品。
数有るジョルジュ.シュバリエ、デザインの中でも有名なモデルです。
重厚でキャラ立ちのするステムは「LA TOUR MOUBNOURG」と双璧かな。

実はこの子、赤坂時代に割っちゃっての買戻しです。

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大胆に面出しされたボウル部、そしてドッシリと安定感のある二股ステム。
アール・デコの典型とも云うべきモダンで独創性なデザイン。
そして手にした際の重量感は「バカラ」ならではです。
因みにこの子は刻印無し、従い1935年の単一年に製造時期が絞れるのでして。

あとエッジの丸いクープ形状のものが多いアンティークグラス。
シャープ&ソリッドな口当たりのグラスは意外と少数派なのです。
同社のBuckinghamやラリックのBourgueilと並び、辛口カクテルに重宝するフォルム。
今んトコ、ギムレットはノータイムでこの子を使ってます。

と、こんな感じの「2020.AUTUMN」グラス新入荷その2。
その3はロブマイヤー/フリットヘッケルトの予定です。

 

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2020.11.01

●2020.グラス新入荷①

えー、本日より月替わり神楽月。
でもって今日から暫くグラス関連のお話が続きます。
9月後半~10月中は、赤坂から武蔵野口に移って初めての「グラス強化月間」。
地元京都のアンティークショップを中心に、幾つかのお店からアンティーク/現行モデル合わせて15客ほど購入して参りました。

と云う訳でその一部を簡易解説付きで紹介してみたいと思います。

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【RENE LALIQUE】CHINON/シノン (フランス/1930年)
現場(Bar)でアンティーク.ラリックを使うにはこの手の太ステム(Bordeaux/madere)モノか、ロータス/コクリコみたいなゴブレットに限ります。
だって脚の長いグラスは「ポキッ」と折れそうで怖いんだもの…。

ラリックに就いてのブランド解説に就いては下記参照の事。
http://bamboo-bar2.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_7dc1.html

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ラリック没後、戦後復刻されなかったモデルの一つ「シノン」。
アンティーク市場では人気テーブルウェアの一つです。
バカボン模様(今風に云うなら渦巻ナルト)の施された太いステムが特徴的。
茶色のサチネが施されているのもラリック的、キャラ立ちするグラスです。
因みにこのステムはボウル部に溶着されたものでは無くプレス成型によるもの。

レゾネではマディラ用となっていますが、勿論それ以外の注ぎ物にも対応幅広し。
ウチでは専ら、ウイスキーやリキュールに使ってます。

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【Val Saint Lambert】Ponthier/ポンティエ(ベルギー/20C前半か)
「ベルギーのバカラ」として名高いヴァルサンランベール。
実際クリスタルの質(鉛の含有率)はバカラやサンルイの方が上位。
デザインも他工房を模倣したものが多く、大衆向けの量産品と云った立ち位置です。
まぁその分安価でタマ数も多く、バーウェアとしては使い易いですけどね。

バルサンに就いてのブランド解説に就いては下記参照の事。
http://bamboo-bar2.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/1825_e688.html

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極薄のボウル部はアシッドで繊細な幾何学模様、形状は軽くダブルオージー。
写真では判り辛いですが、網目に合わせる様にやかに波打ってます。
脚部は六角形にカットされたエアーステム(元ネタはSt-Louis?)、そして驚くほど「軽い」。

VSLの作品はレゾネ的なものが無くグラスの年代が絞り辛いですが、技巧の細かさとプレート部のカット装飾からして1920~30年頃かと。
但しこの中空ステムは40年代まで作られており、若しかするとその時代まで下るかも。

摺切りで70mlとやや小振りなグラスは淑女の手にジャストサイズ。
そんな訳で殆どレディ&マダム専用として使ってます。

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【DAUM NANCY】GILT EDGED RIM(フランス/1920年代)
ガレと並ぶアール・ヌーヴォーの雄、ドームナンシー。
このモデルは19世紀後半に作られていたDUCAL(デュカル)の後継シリーズと云った位置付けかと思われます。
ドームの小売店であったダモン(LOUIS DAMON/Paris)で販売されていました。

結構量産されたテーブルウェアらしく、バラ物はアンティーク市場で良く目にします。
ボウル部にフルールドリスや草花文の金彩を施したものもあります。
今回はシャンパンクープとリキュールグラスを購入しました。

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漣の様に波打つフォルム、刷毛で縁塗りしたような金彩が美しい。
ゴージャスでありながら華美になり過ぎず、エレガントな気品すら感じさせるグラスです。

全高に対してボウル部が大きいのですが、朝顔の様に裾の広がるステムと安定感のあるフット部とのボリューム比が絶妙のバランス。
そしてデッドストック並みの奇跡的な超美品。
スレ無しキズ無し気泡無し♪、金彩の保全具合もパーペキ♥です。

と、こんな感じの「2020.AUTUMN」グラス新入荷その1。
その2はウエッブ/バカラ/ブリティッシュグラスの予定です。

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2020.10.30

●掘り出しモノ

えー、もう半月ほど前の琴です。
秋の長雨が続き、やおら冷え込み厳しくなってきた10月半ば。
自宅の段ボールを掘り出して冬用の備品発掘、お店に持って参りました。

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アイリッシュコーヒー用…では無く、フツーに珈琲出す用のロイヤルアルバート。
これから来春に掛けて、暫く活躍して貰らわなくっちゃ。

しかし本日のエントリー、主題はこの子達ではありません。

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この子です♥。
お酒やらグラスやら備品やら入った段ボール群を片っ端から開梱していると、その存在自体をすっかり忘れてた「赤玉グラス」が出て参りました。
サントリーさんが「赤玉ポートワイン」から「赤玉スイートワイン」に名称を変更した1973年~77年頃のノベルティです。

因みにこのグラス、購入したのは2010年10月26日↓。
http://bamboo-bar.air-nifty.com/blog/2010/10/post-4a26-1.html

そんな訳で10年の歳月を経て、漸く「日の目を見た」グラスのオハナシでした。

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2020.01.26

●「5ミリ」の差に「10年」の歳月を想う

えー、本日は一昨日ログの続篇みたいなもの。

10年間の放電 充電期間を終え、昨年4月に社会復帰した私め。
以来「細々」「緩々」と飲み屋の主を務めておりまする。
で、お店開けて9ヵ月もすると使用頻度の高い「14タン」が数客破損。
浅草のグラス屋さんへ仕入れに向かった水曜日なのでした。

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木村硝子さんの14㌉タンブラー。
この業界に足を踏み入れて以来、彼是20年以上のお付き合い。
「ロングカクテル」に「ハイボール」に「水割り」にと、愛用しているグラスです。
今回は補充用+ストック分も含め、六客購入致しました。

で、包装紙を外しグラスを水洗いしていると、ミョーな違和感。
何か、手に持った感覚が変...」。

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「規格、変わってる...」。
左が10年前から使っている14タン、右が今回購入した14タン。

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上辺(飲み口)をアップにすると良く解ります。
現行のものは約5㎜背が高くなっています。

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ボトム(グラス底)の直径は1~2㎜程度しか変わらないのですが、

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飲み口を合わせると、口径の違いが歴然。
実寸で旧グラスは7.2㎜、今回購入したものは7.8㎜でした。

まぁ規格変更つってもサイズ「数㎜」のマイナーチェンジ。
基本コンセプト(バリウムクリスタルの極薄総肉)は変わっておらず、実地の使用には支障ありません。
序でに生産もジャパンメイドのままです。
つーか10年もBarシーンの現場を離れてりゃ、少しはグラスの規格も変わってるものでしょう。

そんな訳で赤坂時分から使っていた14タンと、新たに購入した14タン。
「同じ」で「同じじゃない」二客のグラスを眺めつつ、しみじみと感じる歳月の長さなのでした。

 

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2019.06.04

●「Nymph」のGLASS

えー、昨日ログの続き。
開店祝いで頂いたカリクリスタルグラス(多分ボヘミア)に就いてです。

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ギリシャ神話では最初に創造された聖なる樹.オークがメインのモチーフ。
尤も私らにとっては「ウイスキーの樽材」としての意味合いが強いですけどね。

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二本のオークの間には蜘蛛の巣が。
ギリシャ神話が題材ならアラクネーの張ったもの?。
ま、これは深読みのし過ぎでしょう。

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そして樹間を飛ぶ、

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二翅のニンフホソハナカミキリ。
「ニンフ(ニュンペー)」はギリシャ神話に出てくる、若い女性の姿をした妖精。
ギリシア語の普通名刺では「花嫁」「新婦」の意だそうです。
花嫁が蜘蛛の毒牙に掛かる…って危うい情景、何か意味深ですね。

ちょっとアールヌーヴォーな感じもするけど、やっぱり違うよなぁ…。
ウィールエンヴレーディングが普及した17世紀以降、ボヘミアでは神話.寓話や歴史的場面をモチーフとした作品が多く、このグラスも恐らく神話の一場面を題材にしたものかと思われます。

しかし大昔、テオゴニアを手に取ったものの僅か数日で読破挫折した私め。
ギリシャ神話についてはサッパリ不如意で御座います。

そんな訳で誰かギリシャ神話に詳しい人、この文様の説明して下さいな。

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